国交省が「第30回整備技術の高度化検討会」  喫緊の〝人材不足〟への対応急ぐ  改訂版ガイドラインを策定

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カテゴリー: ニュース
検討会で公開された資料から引用1
検討会で公開された資料から引用1

 国交省物流・自動車局自動車整備課は19日、「第30回自動車整備技術の高度化検討会」を、都内の会場とウェビナーを活用したオンライン会議とのハイブリッドで開催した。「新技術への対応」と「人材確保」という、二つの大きな課題に直面する整備業界。検討会では課題の洗い出しを行い、その解決に向けて審議を重ねた。

 

 この検討会は、東京工科大学未来モビリティ研究センターの須田義大センター長を座長に、自動車に関係する産学の有識者により検討会委員が構成される。

 今回の議事は、(1)「整備マニュアル等の提供義務」、(2)「汎用スキャンツールの機能向上」、(3)「『自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン』(以下、GL)のアップデート」、(4)「今後の課題」——この4項目。須田座長の議事進行で現状報告と意見交換が行われた。

 このなかで、深刻化する一方の「整備士の人材不足」については、「自動車整備技術の高度化に対応する人材確保に係る検討ワーキンググループ(以下、人材確保WG)」が中心となり取り組みをスタート。22年に対策などの「中間とりまとめ」を経て、23年3月にGLを策定し6月に公表した。

 このGLについて、整備事業者や現役の整備士から聞き取りやアンケートを実施。「GLが活用できない理由」や「GLが文字ばかりでわかりにくい」「GL存在を知らず周知不足」などの声があがった。

 それらの声を踏まえ、今回の審議で次のアップデート方針を採り入れることを確認。より使いやすくするとともに、ホームページでの訴求をはじめ効果的な周知を図る考えを共有した。(1)「すべての事業者が自社の取り組みを体系的に確認できる内容に再編集する」、(2)「自己分析表を用いて自社の状況を手軽に知ることができるようにする」、(3)「実際の事業者の取り組み事例を掲載する」、(4)「定期的な振り返りと情報の更新を行う」。

 「整備士の人材不足」問題については、GLの策定とともに、委員から次のような意見が寄せられた。

 「事業者と整備士が腹を割ってざっくばらんに話すことができるようなコミュニティやSNSが必要」

 「事業者と整備士が一体となって、働きやすい職場づくりを実践しなければならない」

 「少子高齢化は避けて通れず、さまざまな業界で人材の取り合いとなる。整備業界が働きやすい・働きがいのある職場であることをアピールポイントにする。発信力のあるひとに、整備業界の魅力を伝えることも必要」

検討会で公開された資料から引用2
検討会で公開された資料から引用2

 「整備の教育現場をみると、外国人留学生の存在が大きな役割を担う。しかし留学生は企業規模の小さい事業所や地方に行き渡らない現状がある。給与や休暇などの待遇だけではなく、問題点を洗い出し改善を具体的に示すことで分散化をめざす必要がある」

 「第31回検討会」は10月頃、「第32回検討会」は26年3月頃に開催を予定。人材確保WGは改訂版GLの周知・活用促進を図り、整備士の確保と育成に取り組む。また、「今後5年間の自動車整備工場ネットワーク調査」を行う。整備士の資格を持ちながらも異業種に転職した人など〈潜在整備士〉の自動車整備業への復帰促進策について、検討を進める方針だ。

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