中計「STAGE30」第3フェーズ発表  日本ゼオン、「選択と集中」で資本効率向上を

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 日本ゼオンは11日、中期経営計画「STAGE30」の第3フェーズ(25年-28年度)を発表し、「選択と集中」によるポートフォリオ組み換えを進め、資本効率を上げていく考えを明らかにした。

 28年度の財務目標は売上高4500億円(24年度実績4206億円)、営業利益420億円(同293億円)、ROE8.4%(同7.3%)、EBITDA800億円(同488億円)、ROIC7.0%(同6.2%)とした。

 そのうえで、成長ドライバ、次期成長ドライバを定義。第3フェーズの成長をけん引する成長ドライバはCOP樹脂、COPフィルム、電池材料で、増設・最適生産体制を構築する。

 次期成長ドライバはCOP成形品、特殊ケミカル、単層CNTで、第4フェーズ以降の拡大を担う事業と位置付けた。

 ノンコア事業、低収益事業は縮小撤退や資本提携を進め、第3フェーズでは積極的にポートフォリオ組み換えを進めるという。

 その一つ、徳山工場のエラストマーは低収益製品を段階的に停止。26年度にE−SBR第1系列などを、28年度以降にBRを生産停止する。一方でCOP新プラントを建設し高収益製品の生産能力を増強。28年度下期で年産1万2千トンの増産となる。

 オンラインで行われた説明会で、豊嶋哲也社長は「成長ドライバ、次期成長ドライバにリソースをかけ、売上利益の比率を高める」と、今後の方向性を解説した。

 第3フェーズでは、新たにモビリティ、医療ライフサイエンス、情報通信、GXの成長4分野の売上高比率を、24年度37%から28年度48%をめざすという。

 「成長ドライバはステディに売上高を大きくしていく。次期成長ドライバは市場投入が始まってまもないため、当初の規模は小さいが、30年度以降には次のゼオンを支える事業になる」とし、対象市場でいかに売り上げを伸ばしていくかがカギとなる。

 成長ドライバには1000億円、研究開発等の300億円の新規投資を決定。検討中の投資案件としてはフィルム加工設備やカーボンニュートラル投資などで800億円。

 また豊嶋社長は、多機能な試作施設を備えた新たな研究イノベーションの拠点「川崎イノベーションフロンティアポート」にも言及。31年以降にスタートアップ支援を計画し、「従来のモノづくりの領域を超えていく」と強い姿勢を示した。

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