GTラジアル&ノキアン
拡販へ、販売店訪問し試乗体験も

物価高騰でユーザーの価格に対する視線もシビアだ。そのなかで阿部商会は春商戦に品質と価格を両立する「GTラジアル」を主力に据える。冬タイヤがメインのノキアンも昨年、夏タイヤ「Hakka Black(ハッカ・ブラック) 3」が発売。冬タイヤのブランド力を生かして夏タイヤでも浸透をねらう構えだ。販売促進部商品課タイヤビジネスシニアアドバイザーの市川仁氏と、営業本部GT RADIAL営業責任者の溝口智康氏にこれからの戦略について話を聞いた。
―24年度の春商戦の振り返りについて。
市川 ノキアンは冬タイヤの主力ブランドであるが、昨年は夏タイヤ「Hakka Black 3」を投入し、既存の「Green(グリーン) 3」「Blue(ブルー) 3」とあわせて「Hakka」シリーズのラインアップが揃った。販路であるタイヤ専業店や修理工場などを通じて拡販に努めた。
溝口 GTラジアルについては昨年6月に価格を改定したことから、4月、5月に駆け込み需要もあり好調な売れ行きとなった。アジアンタイヤのなかでも高品質のわりに価格も手ごろで、日本市場での伸び率は大きい。値上げ後も好調を持続している。
市川 タイヤ市場全体としては横ばい、ないし微減といった厳しい環境だったと思う。しかし当社では、お客様からGTラジアルのタイヤを指名買いされるケースもあり、善戦することができた。
溝口 昨年発売したGTラジアルのオールシーズンタイヤ「4 Seasons(フォー・シーズンズ)」は今後の成長を期待している。昨年はオールシーズンタイヤの認知度が大きく向上した。国内メーカーとの差別化は課題となるが、伸びしろがあるカテゴリーなのでしっかりと需要をつかんでいきたい。
―25年の戦略は。

市川 ノキアンはスタンダードサイズをカバーする「Blue 3」「Green 3」、そして17インチから20インチの大口径をカバーする「Black 3」の三つが夏商戦の主力だ。
サイズレンジは少ないが、日本市場での夏タイヤ展開は5年目。市場でも冬タイヤを通じてノキアンの認知度は高まっている。
冬タイヤを履いて好感触だったユーザーが「ノキアンの夏タイヤも試してみよう」という好循環が、タイヤ専業店やカーショップを通じて少しずつできあがってきている。引き続きこの循環を強化したい。
溝口 ノキアンの冬タイヤからの履き替えをGTラジアル含めて選択肢として提供できるのが当社の強みだ。そういった強みを発揮しながら、25年の春商戦を戦っていく。
販売店を回るとアジアンブランドのタイヤの品質向上の理解が広がっていることを感じる。こうした高い品質とリーズナブルな価格に優位性がある。
創業77年の当社が扱うメリットも大きい。タイヤは単なる消耗品ではなく、アフターサービスや保証も重要だ。アジアンタイヤはEC販売が増えているが、購入後のサービスを懸念する声もある。当社は購入後もしっかりと対応して、販売店様からの信頼を築いてきた。手厚いアフターサービスに加えて、営業マンと対面でコミュニケーションをとれることは信頼構築に寄与している。
―プロモーションは。
溝口 GTラジアルではレビューキャンペーンを昨年から始めて、今年も4月1日から9月30日までの期間で行う。
今年は米国のレースでGTラジアルのチームに日本人ドライバーをふたり採用した。それを活用してモータースポーツ用タイヤのブランディングと拡販にも努めていきたい。
―メッセージを。
溝口 GTラジアルはコストパフォーマンスに優れたタイヤだ。エンドユーザーに説明しやすい環境を整えて、販売店様がお勧めしやすいようにしていきたい。
市川 アジアンタイヤは安さが強調されがちだが、販売店様がしっかりと利益確保できるようにうまく使ってもらいたい。価格競争は避けては通れないが、販売店様にとって意義のある商材として活用していただきたい。
今年は、GTラジアルを履いたクルマで全国のショップを回る予定だ。試乗してもらうことで良さを肌で体感していただきたい。