
住友ゴム工業は8日、米国グッドイヤー社(GY)から、欧州・北米・オセアニア地域での四輪タイヤのDUNLOP(ダンロップ)商標権=写真=などを取得する譲渡契約を締結したことを発表した。1999年に結んだGYとのアライアンス契約が2015年に解消されたのを機会に欧米でのDUNLOP商標権を手放していた。今回の契約でこれを買い戻す。
住友ゴムは同日、米国にもつなぎオンラインで臨時説明会を開催。譲渡契約の内容を明らかにした。
今回の商標権取得で同社は一部の地域や商材を除きグローバルでDUNLOPブランドによるタイヤ事業の展開が可能となる。なお除外となる地域は四輪タイヤがインド、マレーシア、シンガポール、ブルネイ。二輪タイヤがインド、欧州、オセアニア。取得価格は5億26百万USドル(約826億円)。クロージングは25年5月を予定している。GYからの製造拠点の引継ぎは行わない。
同社ではグローバルで独自技術を搭載した差別化商品の価値最大化に注力しており、日本・アジア市場などでDUNLOP、FALKEN(ファルケン)の2ブランドで商品を展開。欧州・北米・オセアニアではFALKENを展開しSUV用ピックアップ市場の獲得に成功していた。今回のDUNLOP商標権取得により、DUNLOPをグローバルでのプレミアムブランドとして展開する考え。
DUNLOPブランドで差別化商品を欧州・北米・オセアニアに追加投入していくことで、消費財タイヤのプレミアム比率を24年の約40%から27年

には45%、30年には60%まで拡大する。グローバルでのプレミアム商品ゾーン攻略を本格化していく構え。
アクティブトレッド技術を活用した乗用車・SUV向け新商品や、独自技術で差別化をはかるフラッグシップタイヤなど、Tier1のプレミアムカテゴリーに向け商品を注力する。
今回のDUNLOPブランド取得により、さらなる利益率の向上をはかり、中期経営計画の財務目標の前倒し達成をめざす。それを踏まえ中期計画を見直し、3月に全社戦略発表を予定している。
この日の説明会で山本悟社長は「全社でDUNLOPブランドの価値を高めていき、お客様に選ばれるブランドに育てていく」と、今後のグローバル販売戦略に強い自信を示した。