国内市販用タイヤTOPインタビュー  トーヨータイヤジャパン 山邊憲一社長

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カテゴリー: インタビュー, 特集

 〝らしさ〟で強みを伸ばす

 独自の世界観訴求し施策の推進を

 (前・後編の2回/後編)

 

 (前編からのつづき)

 ――生産財の今後の展望は。

 

山邊憲一社長
山邊憲一社長

 2024年問題への対応で、昨年より、大手トラック・バス事業者様をはじめ物流業界全体が人手不足など依然として厳しい環境下にあると感じています。そのような状況下、当社としては、商品面では省メンテナンスタイヤ、また、サービス面では人手不足の事業者様への研修や安全運行へのサポートなど、ハード・ソフト両面から提供する内容を組み合わせることで、より実効性の高い支援をしていきたいと考えています。

 昨年、トラック・バス用タイヤの状態管理デジタルアプリ「Tire SAPRI」を開発し、テストマーケティングを始めています。タイヤの残溝を管理し、そのデータをもとに摩耗の予測を行い、タイヤ交換時期をお知らせするものです。

 また、事業者様向けだけでなくドライバーの皆様にも支援していく必要があると考え、運行前の車両点検やチェーンの巻き方研修、事業者様と共同でドライバーを称える表彰制度などを企画、実施しています。

 こうした総合的な事業支援を行なうためには、これまで以上に丁寧かつ柔軟な対応が求められます。いま、当社で進めている構造改革においては働き方も大きく変革させてきており、このような流れのなかで支援を充実させていくためにはデジタルデバイスのより一層の活用が不可欠だと考えています。

 

 ――オールシーズンタイヤの市場が急成長している。TOYO TIREのブランド「CELSIUS」の展開は。

 

 夏タイヤと冬タイヤの履き替えではなく、オールシーズンタイヤを通年使用する人が増え、特に都市圏を中心にその需要が高まっています。「CELSIUS」はタクシー業者専用に加え、商用車向けの需要も高まってきており、タイヤをコストとして捉える業態ではこれまで以上に関心が高まってくると考えます。

 異常気象による急な降雪などの影響から、一般のお客様のオールシーズンタイヤへの関心が高まってきていることが感じられます。今後も製品のさらなる性能向上をめざして研究開発を継続するとともに、マーケットのトレンドに対応していくべく動向を注視してまいります。

 

 労組発足で社内のコミュ力がアップ

 

 ――販売店を取り巻く環境も変化している。販売チャネルの施策は。

 

 当社では、商品戦略に沿った販売方法を継続的に展開していくことが重要だと考えています。ただし、既存の販売店の皆様との関係性強化はもちろんのこと、戦略とマッチする販売店の開拓も進めてまいります。

 

 ――構造改革について、社長としての評価は。

 

 拠点数が半数になったことで外形的には大きく変化したように感じられる一方、業界全体では物価高や原材料高など環境変化に絶え間なく対応が求められています。そのためにもセールスパーソンの配置最適化だけでなく、管理部門の効率化も必要と考えています。組織全体の機構改革を進めつつ、さらなる効率化へメーカーと連携しています。

 受発注の効率化を目的に立ち上げたコンタクトセンターも受注を徐々に増やしていますが、お客様や商品ニーズを漏れなく把握することが重要です。また、コンタクトセンターの機能向上も進めており、納期回答やサービス対応などの付随の業務ができるようにしながら、セールスへのサポートを強化して営業支援につなげていきたいと考えています。

 

 ――社員のエンゲージメント向上も重要になっている。

 

 TOYO TIREのイメージが良くなったとお客様からの声をいただいています。大リーグのドジャースやサッカー日本代表のスポンサードを通じて、認知度は大幅に向上したと実感しています。

 「TOYO TIREは良い会社だね」と思ってもらえることで社員の誇りは醸成されていると思います。新しい働き方や働き場所、やりがいを提供できるよう構造改革を進めていきます。

 昨年8月には労働組合が発足しました。労使が適度な緊張感のもとに議論できるようにしたいという声が設立のきっかけですが、これによって会社全体の縦ラインと横ラインのコミュニケーションが健全に進められる環境が整ったと感じています。

 

 ――タイヤ販売店の皆様へメッセージを。

 

 昨年は厳しい状況もありましたが、TOYO TIREは独自性のある商品や施策が強みであり、それが「TOYO TIREらしさ」です。この独自性はお客様の支持があってこそ成り立ちます。

 TOYO TIRESがつくる世界観にご理解をいただき、共感していただけるよう今後も販売会社として最前線に立って販売店の皆様と丁寧に対話を重ね、WIN‐WINの関係を構築していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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