〝らしさ〟で強みを伸ばす
独自の世界観訴求し施策の推進を
OPEN COUNTRY R/T TRAILやOPEN COUNTRY H/T 2(商品名表記はローマ数字)、PROXES LuK2(商品名表記はローマ数字)と今春、新商品3種を上市したTOYO TIRE。自社の強みを最大限に伸ばし独自ポジションを確立する。その戦略を販売の最前線で展開するのがトーヨータイヤジャパンだ。山邊憲一社長はさらなる「TOYO TIREらしさ」訴求へ、アナログ/デジタルの両輪を活用する構えだ。(前・後編の2回/前編)
需要回復した上期。冬用も期待かかる
――昨年から今年上期までの振り返りを。

昨年の国内タイヤ市場では、エネルギーおよび原材料価格の高騰による物価高の影響を受け、業界全体の需要は低位で推移しました。当社も販売数量では振るいませんでしたが、高付加価値商品の販売強化に取り組み、収益性の改善を図ってきた結果として利益面では一定の成果はあったと考えています。
本年はタイヤの需要が好調に推移していることから、25年上期の販売数量増加を期待しています。また、2月の大寒波によって降雪量が増え、それにともない冬タイヤの需要が急増しました。夏タイヤへの履き替え需要が4月にずれ込みましたが、これがいよいよ本格化し、6月1日からの夏タイヤの価格改定を前に、駆け込み需要も販売本数を押し上げました。
――駆け込み需要は顕著か。
夏タイヤへの履き替え需要は5月までにひと区切りついています。これから7月にかけてはトラック・バス用タイヤの駆け込み需要の時期になりますが、2024年問題の影響により、コスト意識の高まりや経営環境の厳しさが背景にあることから、値上げ前の購入意欲はやや限定的になっていると感じています。
一方で、トラック・バス用タイヤではスタッドレス比率が高く、すでに問合せをいただいています。当社の場合、乗用車用タイヤを含め、冬の商品ラインアップへの関心が高まっていることを実感しています。このような状況を踏まえると、価格改定に対するマーケットの反応は冬用タイヤのほうが強いのではないかと考えられます。
――タイヤが大口径化し1本あたりの価格も高くなっている。販売店としても収益性が高まる。OPEN COUNTRYを筆頭に、このカテゴリで強みを発揮している。
取り扱っていただいている販売店様やその先のエンドユーザーの皆様にも、OPEN COUNTRYなど、当社が重点商品と位置づけている商品群が満足度の高い商品であることを実感いただく必要があります。
ただし、競合他社からも特徴的な商品が展開されているので、販売店様やユーザー様には、TOYO TIRESブランドのタイヤの価値を理解いただけるよう浸透を図っていきたいと考えています。
そのためには、セールスパーソンの教育が重要になります。新商品勉強会や試走会などにも参加して、商品の特徴をしっかり体得し、セールスポイントを社内展開して共通認識を持ってもらうようにしています。
グループで訴求高めブランド認知向上へ
――TOYO TIRESブランドのイメージ向上やOPEN COUNTRYブランドの認知度向上に向け、SNSでの訴求を含めた施策について。
TOYO TIREグループでは、コーポレートカラーである青を基調とし、ブランドがめざす世界観とメッセージを表現した企業CFを今年6月に刷新しました。
また、OPEN COUNTRYブランドでは、メーカー本体のマーケティング活動としてファンミーティングや女性ユーザー向けイベント「#オプカン女子会」などコアなファンづくりを継続的に実施し、SNSなども活用して盛り上がりを仕掛けています。
販売会社である当社がSNSを販売促進に活用するまでには至っていない一方、一部の販売店様では積極的にSNSを活用されているので、お客様との接点づくりに生かせるよう当社でも展開活用を考えていきたいと思っています。
(後編につづく)