株式会社サンライズタイヤサービス  代表取締役 白井政志氏

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カテゴリー: インタビュー, 特集

 タイヤ専業店の活性化に向けて

 SDGsを突破口に難題へ挑戦

 

 深刻な人手不足となるタイヤ専業店業界。低工賃・低賃金にあえぎ、投資余力も少なく抜本的な改革ができず、代表者の引退によって廃業するというケースも少なくない。株式会社サンライズタイヤサービスの白井政志社長は「SDGs」を武器に、負のループにメスを入れる。(前・後編の2回/後編)

 

 (前編からのつづき)

 社員の意識に変化 6月にイベント開催

 

サンライズタイヤサービス
サンライズタイヤサービス

 業界の〈負のループ〉から抜け出すには、いかに「人材を呼び寄せるか」。白井社長はひとつのトレンドに目をつけ取り組みを始めた。それはSDGsだ。

 SDGsは国連が15年に定めた17の目標から構成されている。日本でも企業の取り組みがみられ、行政もその動きをサポートする。白井社長はこうした動きをみながら、「業界の活性化につながる武器になるのではないか」と注目。自社でも取り組んでいくこととなった。

 特に力をいれるのは、社員への意識浸透だ。社内での会議を通じて会社や事業の社会的意義を再確認するとともに、SDGsに則した取り組みについて意見を出し合っているという。

 このような取り組みは、一定の成果をだしている。そのひとつが、ことし6月に開催した「第1回タイヤふれあい集会」。子どもたちがタイヤ交換を間近で見学することができたり、タイヤを使ってボーリングや輪投げで遊べるコーナーを用意。キッチンカーや屋台を出店し、ファミリーで楽しめるイベントとなり盛況を博した。

 このイベントの発案者は「社員」。業界の人手不足や、若者の「なり手不足」について、社内の会議などさまざまな場で考えを共有した。そのようななかで、ある社員が提案したのが「タイヤ専業店への来店の敷居を低くするイベント」だった。これに白井社長がGOサインを出した。企画から準備、運営にいたるまで社員の手で行ったという。

 白井社長は「これまでの活動は私が企画・準備して実施するということがほとんどだった」と振り返る。それだけに今回のイベントが「社員中心でできたことの意義は大きい」と喜ぶ。社員への意識浸透を続けてきた〈成果〉が現れたわけだ。

 

 負のループから脱出へ 「一歩ずつ前進する」

 

サンライズタイヤサービス
サンライズタイヤサービス

 同社のHPに「SDGsの取り組み」というページがある。そのなかには廃タイヤを資材にして「観光拠点となるような建物を建設する」など、心躍るようなプロジェクトが掲載されている。「具現化するにはまだ年月がかかると思う」(白井社長)というが、このアイデアは業界の奥行きの深さを示しているといえるのではないか。先のイベントがタイヤ交換業務は幅広いということの一端に触れてもらうきっかけとなった。廃タイヤを活用し建物をつくるというプロジェクトでは「タイヤでこんなことができる」、そんな奥深さを垣間見せる。

 こうした取り組みを通して、若い人たちがタイヤ業界、サンライズタイヤサービスで働いてみたい……そう思ってもらえるようになれば、人手不足に始まる負のグループを断ち切るあしがかりができる。それを次のように表現してくれた。

 「すぐに成果を出すことはむずかしいが、10年程度の中長期スパンで取り組んでいき、一歩ずつ前進していきたい」(白井社長)。

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