須藤元日本ミシュランタイヤ社長  社会課題解決するタイヤを供給  開発の核は「全領域で妥協しない」

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カテゴリー: インタビュー, 特集

 25年上期の事業環境を振り返って

 ——25年上期の振り返りを。

 

須藤元日本ミシュランタイヤ社長
須藤元日本ミシュランタイヤ社長

 須藤 円安やインフレ環境が続くなかで、当社事業の「改革」は進んできました。

 「PRIMACY 5(プライマシー ファイブ)」を3月に上市し、消費者により高性能・高品質な製品を訴求していくことも進展しています。とくに高インチタイヤの販売ミックスが改善していることは大きな成果です。

 ミシュランはこれまでも、そしてこれからも、製品を通じてお客様に一番の安心・安全、運転するときの快適性・楽しさを提供していきます。

 クルマが「100年に一度の変革期」と言われるように、日々進化を遂げています。タイヤに対しても高い安全性や環境負荷の低減が求められています。これに応えていくために、23年8月に群馬県太田市に本社移転したことで、研究から営業までの全部署が一丸となって社会のニーズに応えるタイヤ開発を行うことが可能な体制を整えることができました。

 

 ——タイヤの価格改定を行いました。マーケットの動きは。

 

 いまタイヤに求められているのはハンドリングなどの性能だけでなく、安全性、快適性、環境性のいずれも高度なレベルに仕上げることです。新製品ごとにこれらをより高いレベルで提供することはわたしの役割であり、ミシュランの存在意義だと考えています。

 こうした役割を果たしていくためにも、事業が持続可能であることが重要であり、価格改定もその一環です。「PRIMACY 5」など直近の販売活動を見ると、当社の性能進化への取り組みをご支持いただけていると感じています。

 

 新商品「プライマシー5」を上市

 

 ——「PRIMACY 5」を購入されたユーザーの反響は。

 

 「静粛性が高く、会話や音楽が聞きやすかった」という声が聞けてうれしかったですね。「雨の日での安心感があがった」「燃費が良くなった」という評価もいただくことができました。すべての性能を良くすることを考えて開発したので、それを体感していただけたものと考えています。

 性能も良く、環境にも良い。さらに格好良いものにしたい。そこで外観デザインにもこだわり、プレミアムタッチをより広範囲に採用しました。

 

 ——使用してタイヤが摩耗した後も性能を高いレベルでキープすることにも注目されています。

 

須藤元日本ミシュランタイヤ社長
須藤元日本ミシュランタイヤ社長

 長くもつだけだと、タイヤの新品時と摩耗時で性能差が出てきます。その差は特に安全面で出やすい傾向にあります。しかしわたしたちは「最後まで安心して使い続けられる」ことをテーマに製品開発に取り組んできました。「PRIMACY 5」でも新品時と摩耗時の性能差を先代に比べてさらに縮小させることができました。

 新品時と摩耗時の性能差を縮小していくというのは、クルマの大型化に対応していく観点からも重要です。重量が増えたからブレーキング性能が弱くなるというトレードオフは許されません。だからこそ、わたしたちはより安全性能を高めていく必要があります。

 こういったことはほかの性能でも同様です。EVはエンジン音がなくなり、静粛性が高まります。そうするとタイヤの静粛性をより高めることが求められます。耐摩耗性も高めていかなければならない。

 さらに大口径化が進み、使用する原材料が多くなるなかで、いかに環境負荷を低減していくかも課題です。環境に良い材料、たとえばリサイクル材料などを使うわけですが、リサイクル材料は一般的に性能向上とは相反します。そのなかでより高度な性能を出す必要があります。

 ミシュランはそういった課題を乗り越えながらアップグレードを果たしてきたと自負しています。

 (以下、本紙では全文と画像を掲載)

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