タイヤゲージは精度が〝命〟
先進技術の作動は正確な空気圧あってこそ
『4月8日 タイヤの日』の前日、『4月7日 タイヤゲージの日』を制定したのが旭産業。タイヤの空気圧を適正に管理するために、そのおおもととなるタイヤゲージの精度が正しく保たれているのか、そこに目を向けてほしいという老舗専門メーカーの願いから発案されたもの。認定・登録されてからことしで18年となる。整備の現場で作業の品質が改めて問われる現在、高精度のタイヤ空気圧測定器を市場で展開する旭産業のこれからの取り組みについて、石田明義社長と営業部の結城勝浩部長に聞いた。
(前編からのつづき)
年に1度は校正を。『一律制』推進中

石田 近年、クルマには先進の安全運転技術が多く採用されています。これらの電子制御装置が確実に作動するにはセンサーが正しく取り付けられているかどうか、それを校正・調整するエイミング作業が重要な関わりを持ちます。そしてそのエイミング作業に際して、タイヤの空気圧が規定通りに充てんされているかということが基準となります。
これはタイヤの空気圧が適正に管理されているからこそ先進の安全運転装置が作動する、と言い換えることができるわけです。その観点でもタイヤゲージの精度がいかに重要かということが示されています。
使用頻度や使用環境にもよりますが、1年に一度程度は校正に出すことをお勧めしています。校正に際して当社では『一律制』という考えかたを取り入れています。たとえば「この部品が劣化しているから交換する必要がある、ついては部品代がいくら」と見積もりを取ることから始めて、その代金によっては修理をせず新品を買われるというケースが出てきます。お客さまがそのように判断するまでどうしても時間がかかってしまう。
『一律制』はあらかじめ校正・修理に関わる費用を一定に決めておき、不具合の度合いに関わらず修理して返却するというシステムです。見積もりを省くことで校正に出しやくなりました。正確なゲージを短い期間でお客さまの元に戻すことができますので、当社はこの『一律制』による校正への取り組みを推進しています。
新製品開発に注力。主眼は作業効率向上
——新商品の提案もメーカーとして重要な責務の一つ。
石田 当社ではここ数年、開発体制の拡充に注力し取り組んでいます。若手スタッフが新商品の企画・開発に加わっており、新しい発想による新商品を発売しています。
その新商品の一例がソケット虫回しの「HCD-AL-150」=写真中=であり、バイクのバルブ向けマグネット付き虫回しの「HCD-AL2」=写真下=です。両商品ともにこの2月から新発売しました。

「HCD-AL-150」はソケット型でバルブに簡単にかぶせることができるので、作業性に優れます。先端にはガイドを設けるとともに特殊シリコンを採用しました。バルブをホールドしながら回し、バルブコアをしっかりとキャッチすることができます。先端部にエアの逃がし穴を設けていますので、高空気圧のタイヤで起こりがちな虫飛びを軽減しました。長さも150ミリあるので奥まったタイヤバルブにも届き、幅広い車種に使うことができます。
開発にあたっては長さや太さなどサイズ感を重視し、試作品をいくつもつくってはモニター使用をしていただき、その声をもとに改良し完成しました。

「HCD-AL2」は径の小さいバイクに最適なもので、これも先端にガイドを仕込んでおりバルブをホールドして回すことが可能です。マグネットを内蔵しているのがミソで、工具箱などに取り付けられるので作業の合間に紛失を防ぐことができます。特殊シリコンの採用により虫をしっかりとキャッチし、作業効率を向上させています。
結城 現場では、過去と比べ現在はひと通りの機械工具がそろっていると思います。そのなかでユーザーの皆さまが不便に感じていること、「ここにこんな工夫があるともっと便利なのだが」という声をわれわれ営業担当がお聞きし、新商品の企画・開発に落とし込んでいます。
石田 近年は人手不足や整備担当スタッフの高齢化、ジェンダーレスが進んでいます。それにともない作業効率の向上や軽労化が強く求められています。安全と品質を高めつつ、優れた作業性、軽労化を実現するということがポイントと考え、事業への取り組みを進める考えです。
ことしはオートサービスショーに独自で出展する計画です。ショーのブースとホームページを通じて、当社の取り組みをお伝えしていきたいと思っています。