スタッドレスタイヤ新商品試乗レポート  =ミシュラン「クロスクライメート 3/クロスクライメート 3スポーツ」

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カテゴリー: レポート, 試乗

 あらゆる天候で高い走行性能を発揮

 

試走シーン
試走シーン

 日本ミシュランタイヤは2日、都内で「MICHELIN CROSSCLIMATE(クロスクライメート、以下CC)」シリーズの新商品「CC3(スリー)」「CC3 SPORT(スポーツ)」を発表した。CC3は16〜20インチ、CC3スポーツは18〜21インチについて10月から順次発売する。発表に先駆け同社は7月、栃木市のGKNドライブラインジャパンプルービンググラウンド(=GKN PG)でメディア向けの試乗会を開催。インプレッションを行った。

 

 「雪も走れる夏タイヤ」を正統進化

 

「CROSSCLIMATE 3/CROSSCLIMATE 3 SPORT」
「CROSSCLIMATE 3/CROSSCLIMATE 3 SPORT」

 CCシリーズはミシュランが「雪も走れる夏タイヤ」として展開するオールシーズンタイヤ。冬季に積雪路や凍結路を日常的に走行するユーザーにはスタッドレスタイヤの使用を推奨するが、都市圏をはじめ非降雪地域で季節を問わない高性能を求めるユーザーに向けCCシリーズを提案してきている。

 このCCシリーズは2015年に欧州で誕生しことしで10年。国内市場では19年に販売を開始した。国内のオールシーズンタイヤ市場は急成長し、それに合わせCCシリーズも進化させ、多様化するニーズへの対応を図っている。

 前モデルのCC2/CC2SUVから正統進化させたのがCC3。「夏の強い雨でも、冬の急な雪でも安心感を持って快適なドライブをしたい」「より長持ちし環境にも配慮されたタイヤを求める」というユーザー層をターゲットに開発した。

 またCC3スポーツは、スポーツカーやプレミアムカーオーナーにもオールシーズンタイヤを使用したいというニーズが高まってきたことを背景に商品を企画。「季節を問わず、正確なハンドリングを追求したい」「スポーツ×オールシーズンタイヤでこれまでにないドライブ体験を求める」ユーザーをターゲットとする。

 

 ミシュランの最新タイヤ技術を搭載

 

「CROSSCLIMATE 3/CROSSCLIMATE 3 SPORT」
「CROSSCLIMATE 3/CROSSCLIMATE 3 SPORT」

 そのような商品コンセプトを実現するために、CC3/CC3スポーツにはミシュランの最新技術を搭載した。「Vシェイプトレッドパターン」をセンターグルーブに採用。排水性・排雪性を向上した。ブロックの配置は「ピアノ アコースティック チューニング」技術を活用し、優れた静粛性を発揮し居住性を高めた。

 CC3にはトレッド面に均一な接地圧分布を確保する「マックスタッチ コントラクション」技術を採用し、偏摩耗を防ぎ高い耐摩耗性能を実現。より長いシーズンでの使用を可能にした。CC3スポーツには新開発「サーマル アダプティブ コンパウンド2.0」を採用し、優れたドライ&ウェットグリップを実現。「ダイナミックレスポンス テクノロジー」の採用でスポーツタイヤに求められる高次元のハンドリング性能を実現した。

 CC3の18インチ以上には「プレミアムタッチ」、CC3スポーツの全サイズに「フルリングプレミアムタッチ」を採用。この独自の金型技術により、深みのある上質な黒さを発揮し美しい外観を実現した。

 

 「トータルパフォーマンス」を具現化

 

「CROSSCLIMATE 3/CROSSCLIMATE 3 SPORT」
「CROSSCLIMATE 3/CROSSCLIMATE 3 SPORT」

 GKN PGで開催されたCC3/CC3スポーツの試乗会。今回ここでは主に、夏タイヤとしての性能を評価した。

 直線のウェットブレーキ路と、バンクのある大きなRを含む外周路ではテスト車両にカローラツーリングを使用した。装着タイヤはCC3の205/55R16 94V XLサイズ。

 ウェットブレーキ路では、時速80キロまで加速し、定められたラインでフルブレーキング。GPSの位置情報を活用し、完全に停止した距離を測定する方法だ。CC3を新品と摩耗後の2種を比較し評価した。

 制動距離は新品のほうが短いのは当然だが、摩耗後のほうも大きくひけをとることはなかった。実走して「挙動が不安定になるということがなく、しっかりとグリップを維持している」と、助手席でも手応えの確かさが感じられる。

 外周路では高速直進安定性をはじめ、微小舵角で切ったときのハンドリングレスポンス、粗い路面での振動、中・高速域でのノイズを確かめる。夏のドライ性能にしっかりとアジャストしており、サイド剛性やブロックの倒れ込みに由来する、いわゆる〈腰の弱さ〉はみられない。「V字」型はパターンノイズを発生しやすいと思われたが、これも杞憂だった。

 CC3は一部サイズで低燃費タイヤの転がり抵抗ラベリング「AA」を獲得。ウェット性能ラベリング「b」で、低車外騒音タイヤマークを獲得した。

 ミシュランは〈Total Performance=すべての性能を妥協しない〉をタイヤの開発思想として掲げる。そのうえで新商品の開発には前のモデルよりも耐摩耗性を高め、新品時の優れた性能を摩耗後も長く維持させることをテーマとする。それにより環境性能・サステナブル性能の向上を図っているのだ。

 

 サステナブルでハイレベルな夏性能

 

 連続ヘアピンカーブがしつらえられたウェットハンドリング路では、テスト車両としてゴルフeTSIを使用。装着タイヤはCC3スポーツで、225/40R18 92Y XLサイズ。

 このステージでドライバーはハイスピードを維持したままヘアピンを攻める。CC3スポーツはそれに対応し優れたウェットグリップを発揮する。濡れた路面をタイヤが踏んばっているのがわかる。「スポーツタイヤに近いハンドリング。多少前後方向でピッチが感じられるが、オールシーズンタイヤという分野であることを考えると、まったくの許容範囲。ゴルフのトルクフルな走行性能に負けていない」と、走りの性能を高く評価する。

 CC3スポーツは転がり抵抗ラベリング「A」、ウェット性能ラベリングは最高グレードの「a」を獲得。低車外騒音タイヤマークも獲得した。

 CCシリーズは高速道路冬用タイヤ規制でも通行可能なスノーフレークマーク(3PMSF)が刻印されている。今回、ドライ&ウェット路面で夏タイヤと遜色のない性能を発揮したCC3/CC3スポーツ。冬シーンでどこまで性能を高めているのか、乗る機会を楽しみにさせてくれる。

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