第15回DTS全国TBタイヤ作業コンテスト  8日・9日、ツインメッセ静岡で  作業の標準化と技術の伝承をめざす

コンテスト参加者と関係者のフォトセッション
コンテスト参加者と関係者のフォトセッション

 株式会社ダンロップタイヤは8日・9日の2日間、ツインメッセ静岡で第15回DTS全国TBタイヤ作業コンテストを開催した。同社が独自に作業指導者を認定する制度「T3(TB・テクニカル・トレーナー)認定試験」の認定者580名を対象に、全国10エリアで地区予選を開催。高校野球〝甲子園〟方式の予選を突破した各エリアの代表者1〜2名、総勢13名(当日1名が体調不良で欠席し12名)が本戦に臨み、T3認定者のトップを競った。

 

 

 甲子園方式で地区予選勝ち抜き全国へ

 

 TBタイヤ作業コンテストは2010年から歴史を積み重ねてきた。第1回を東日本(横浜)と西日本(大阪)で分散し開催。17年の第8回からDTS(ダンロップタイヤショップ)加盟店を追加し参加者が拡大。19年には千葉・市川で第10回記念大会を開催した。

 20年は新型コロナの感染拡大を受け中止したが、21年はオンライン審査、22年は展示ホールでオンライン配信を行うなど感染対策を徹底しながら大会を再開。コロナの感染症分類の変更にともない通常の開催スタイルに戻り今回に至っている。

 このようにコンテストの開催を継続するのは、それが持つ意義が深いため。同社はその目的を「安全・確実・効果的な作業の徹底と作業の標準化を図る」「作業従事者の安全確保と作業レベルの向上・モチベーションアップを図る」「作業技術の伝承と浸透を図る」の3点を掲げる。

 コンテストを通じ労働災害を防止し、あわせて作業品質の全国レベル平準化をめざす考え。ESの向上により作業現場でのスタッフエンゲージメントを図りながら、CS向上で新規顧客獲得と取引拡大をめざす。

 

 設定テーマ「TPMS対応力」を競う

 

実技のワンシーン
実技のワンシーン

 第15回作業コンテストのテーマは「TPMSセンサーの対応力による安全・効率・信頼の向上」とした。車両の来店動機を「運行中にTPMSアラートが作動し、ドライバーが異常を感じて来店」「点検の結果、タイヤ摩耗と空気圧低下が確認され、安全確保のためタイヤ交換を実施することとなった」と設定している。

 ダンロップは、顧客ユーザーのタイヤデータとTPMSによる空気圧・温度データを組み合わせ、デバイスにインストールしたアプリ上でタイヤの状態を常時モニタリング可能なフリートマネジメント、ESP3.0のサービス提供を開始した。

 海外市場ではフリートマネジメントサービスが進展しつつあり、TPMS装着車両が普及している。一方、国内市場ではその浸透度合いは低い。ただ、物流の現場でドライバー不足、整備業界で整備士不足の問題が深刻化し、省人化・省力化と作業の軽労化・効率化にいかに対応するかに追われるさなか。その一環としてTPMSは今後、加速度的に普及することが見込まれる。

 このような状況から今回の実技は、作業の難易度が高い直接式TPMSセンサー装着ホイールのタイヤ組み替え作業が大きなポイントとなる。また、ホイール各パーツの清掃・点検を行い確実な締め付けトルク管理によって車輪脱落防止施策を徹底することも重要だ。

 実技ではさらに、顧客への作業内容の報告や、増し締めなど保守管理に関する説明対応と提案力が審査員の総合評価につながってくる。

 

 作業報告に加え熱中症対策も重視

 

 ダンロップタイヤは9日の実技を報道関係者に公開した。前日8日はタイヤの基礎知識や時事問題、一般常識に関する筆記試験を実施。実技はタイヤ組み替え作業を制限時間25分+延長3分、作業報告書の作成と報告・顧客からの質疑応答を7分目安で設定した。

熱中症対策ウォッチ
熱中症対策ウォッチ

 気候変動の影響で猛暑がつづく作業現場では、熱中症対策を適切に行うことが義務付けられた。それを受け、同社では体温の状態をモニタリングし緊急アラートを発する「熱中症対策ウォッチ」を配付。今回の作業コンテストでも出場者に着用させた。また、水分補給も実技内に時間設定している。

 コンテストの開催にあたり河瀬二朗ダンロップタイヤ社長は「今回のテーマに設定したTPMSへの理解と実践力はますます重要となる。また、大型車の車輪脱落事故の防止もわたしたちが業界全体で継続して取り組んでいる重要な課題。事故は年々深刻化しており、基本作業の重要性が改めて問われる」と指摘。そのうえで「作業コンテストはこうした現場の課題に真正面から向き合い、安全作業の徹底と技術力の向上を図るとともに、現場で求められる対応能力を磨き共有し、未来へとつなげる場だ」と述べ、参加者に熱いエールをおくった。

 

 優勝は比良タイヤの片岡祐太氏

 

河瀬社長
河瀬社長

 コンテストの結果は次の通り。▽優勝・中部カンパニー(C)DTS比良タイヤ工業所 片岡祐太氏▽準優勝・九州Cタイヤランド熊本 佐藤将史氏▽第3位・首都圏C成田営業所 田中佑樹氏

 2年前に地区予選で敗退した片岡氏はリベンジ。「コンテストなどさまざまな取り組みで得た知識と経験を社内で共有し、今後の発展に尽力したい」と喜びを語った。

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