
=表紙のことば=
青い空、碧い海。藍(あお)いMINI
米ブルームバーグによる25年のEV(電気自動車。PHEV=プラグインハイブリッド車を含む)販売予想は全世界で2200万台。前年比25%増の見込み。また、25年に販売されるクルマのうち4台に1台がBEV(バッテリー式電気自動車)やPHEVが占めると予測している。
EVは米テスラと中国BYDが世界市場で激しい競争を繰り広げているが、25年上期(1−6月)のBEV販売台数で明暗がくっきりと分かれた。前者は前年比13.2%減の72万台強にとどまった。対して後者は前年比40.9%増の102万台強。半期として初めて100万台を突破した。テスラと30万台もの大差をつけ、BYDは25年上期のBEV販売数世界トップに立った。
その好調の要因はBEVのみならず、PHEVの開発に力を注いできたこと。それが市場で支持を得られたといわれる。中国製EVには「構造が複雑で部品点数の多いエンジンを搭載することをあきらめ、バッテリーとモーターをつなぐ簡素なつくりのEVに特化した」という評が付いて回った。だがPHEVはエンジンを備えたクルマだ。
そのPHEVに、競合する別の中国新興メーカーが対抗色を強めている。BYDのBEV販売が伸長したのは、中国内でのPHEV販売が鈍化した分をBEVでカバーしたとの分析もある。
PHEVはEVとしてくくられるが、実際のところはHV。日本メーカーが得意とする分野だ。マルチパスウェイを標榜する日本市場で、EV化の波は小さい。このままHVを軸に進んでいくものとみられる。ただそこにPHEVでめきめき技術力を高めた中国勢が参入すると……。うかうかしてはいられまい。この構図、決してクルマだけではないのだから。