住友ゴムの白河工場 高度な製造技術で高機能商品を生産

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カテゴリー: レポート, 現地

 住友ゴムの白河工場は同社が国内に持つタイヤ工場の中で最も生産規模が大きく、新ゴム消費量は月産1万359トンを誇る。敷地面積は60万600平方メートルと広く、11月時点では約1600名が従業員として働く。製造設備は3棟あり、それぞれ乗用車用タイヤとトラック・バス用、SUVや4WD向けなどを生産する施設に分かれる。

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 同工場では、主にレクサス向けや独ポルシェ向けをはじめとした乗用車向けの高性能タイヤを新車装着用として供給している。また、高い製造技術を活かしてDUNLOPの「VEURO VE304」やFALKENの「AZENIS FK510」といった高機能商品の生産も行う。トラック・バス用では、「SP680」などを製造しているそうだ。

白河工場の「NEO-T01」
白河工場の「NEO-T01」

 この工場は、従来製造システムのほか、2つの製造システムを有しているのが特徴。そのうちの1つが、つなぎ目が生じないジョイントレス製造システム「太陽」だ。各種部材の貼り合わせなどゴムの成形工程を一本化し、設備をコンパクトに収めた。

 従来製造システムでは板状のゴムをドラムに貼り付けて丸め、両端を接着することでタイヤを筒状に成形する。一方、「太陽」では細いテープ状の部材をドラムに巻き付けることでタイヤを形作る。つなぎ目が無くなるため真円性が高まり、乗り心地などを更に向上することを可能にしている。現在、市販用を中心に18インチ以上の大口径タイヤなどの生産に使用しているという。

 更なる精度を追求した製造システムが、2012年に完成した高精度メタルコア製造システム「NEO-T01」(ネオ・ティーゼロワン)だ。ゴムをドラムに巻いてタイヤを成形するこれまでの製造工程とは大きく異なり、実際のタイヤ内側の形状を持つ金属製の立体成形フォーマー(メタルコア)に各種部材を貼り付ける住友ゴム独自の技術として開発された。

 タイヤ内部の部材の貼り付けやトレッドの形成などの成形工程作業はコンピューター制御により自動で進行する。加硫工程に入るまでは1時間程度で、高温に耐える「メタルコア」はそのまま加硫機に送られるという画期的なシステムとなる。現時点で同システムが導入されているのは白河工場のみで、主に乗用車用プレミアムランフラットタイヤを欧州向けに供給している。タイヤの厚みを限界まで薄くすることが可能なため、最上級の低燃費性や優れた乗り心地を実現できるのが特徴だ。

 さらに、この製造システムでは加硫工程で使う蒸気の熱源に水素を導入する実証実験が昨年8月から始まった。今後は使用する電力も太陽光由来に切り替え、クリーンエネルギーのみでの生産モデルの確立を目指す。

 面川寿彦工場長は「ものづくりにおいても、安全・安心なタイヤの生産や、持続可能な工場であり続けることに責任がある」と工場としての今後のあり方を語った。

 また、同工場では環境負荷低減活動を継続するとともに、魅力ある会社づくりや安定した雇用の拡大などにも積極的に取り組んでいく。高品質なタイヤ生産と社会への貢献は、工場の継続的な成長を支える両輪となっていくだろう。


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