【東京モーターショー2019】ブリヂストン 革新素材「SUSYM」や軽量化技術「Enliten」を訴求

サシムのコンセプトタイヤ
サシムのコンセプトタイヤ

 ブリヂストンは、「SUSYM」(サシム)を出品した。これはゴムと樹脂を分子レベルで結び付けた世界初のポリマーで、ブースには「サシム」を材料に3Dプリンターで製造したコンセプトタイヤを展示。固さを調整できる特性を利用し、ホイール部は固く、トレッド側は柔らかくなっている。

 「サシム」は、同社が昨年発表した「ハイ・ストレングス・ラバー」(HSR)を進化させたもの。「HSR」も天然ゴムを凌駕する強度や耐摩耗性を有していたが、「『サシム』では分子配列を見直した」(担当者)ことで、穴が開きにくく低温でも強い性質や、再生・修復性といった新機能を獲得できたという。タイヤへの適用は2020年代を目指すほか、他の分野への応用をオープンイノベーションで検討していく。

エンライトンを活用した「トランザ・エコ」
エンライトンを活用した「TURANZA ECO」

 また、タイヤ軽量化の新技術「Enliten」(エンライトン)を活用した「TURANZA ECO」を展示した。従来の乗用車用タイヤに比べて約20%の軽量化を達成しつつ、「接地面の解析技術の進歩によって、諸性能は従来通りを維持しながら転がり抵抗30%低減を実現した」と、担当者は話す。

 その結果、ガソリン車の走行時にタイヤ起因のCO2排出量を約30%削減することが可能となった。今後、OE用から展開する予定。

「有人与圧ローバ」とタイヤのプロトタイプ
「有人与圧ローバ」とタイヤのプロトタイプ

 そのほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、トヨタ自動車と推進中の国際宇宙探査ミッションで、月面を走る「有人与圧ローバ」のタイヤのプロトタイプも紹介した。

 開発では、最低マイナス170度にもなる月面の温度環境を考慮して、素材にゴムではなく金属を採用。また、柔らかな砂地を走行して荷重を支えるため、タイヤが2つに分かれる形状となった。ラクダの足の裏なども参考に研究を進めており、2029年に月面で使用される計画。「フューチャー・エキスポ」には約1.5mの実寸大タイヤを展示した。

 「Bridgestone T&DPaaS」のコーナーでは、イノベーションを通じて様々な価値を創出するソリューションを訴求した。

「歩行領域EV」のエアレスタイヤ
「歩行領域EV」のエアレスタイヤ

 同コンセプトは今年からスタートし、担当者は「当社の商品やサービス、ネットワークでMaaSや新しいモビリティを支えていくという考え方であり、姿勢となる」と述べた。一例として、BtoBではタイヤが原因で稼働を止めないことが重要であるとし、デジタル管理の推進などを図る。

 さらに、青海エリアではトヨタ自動車の「歩行領域EV」にエアレスタイヤが装着されていた。このタイヤは、自転車用のエアレスタイヤをサイズや荷重などの観点から再設計したという。


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