エイワ タイヤサービスカー「M.T.S.シリーズ」

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カテゴリー: レポート, 整備機器

低重心設計で走行中の安全性向上

 ユーザーの求めに応じ現場に向かい、その場でタイヤの整備サービスを行うことができる特殊架装のロードサービスカー。それがタイヤサービスカーだ。

「M.T.S.」シリーズ
「M.T.S.」シリーズ

 タイヤサービスカーと言えば、緊急のレスキュー作業への対応というイメージを連想するのではないだろうか。しかし最近はピットのサテライト化を具現化するツールとしての役割に注目が集まっている。従って、ただ必要最低限の機材を積載し走行することができれば良いという、これまでの固定概念を払拭すべきだろう。現場までドライバーが安心して運行することが可能なこと、現場で店頭と同等レベルの作業品質を確保できること、作業者が安全かつ効率的に作業を進められること――。これらの要件を満たすことが求められる。

 このようなタイヤサービスカーの新潮流に対し、「EIWA M.T.S.(モバイル タイヤサービス システム)」シリーズとして市場で展開しているのがエイワである。同社はこのほど、そのデモカーを新たに製作した。商品部の木崎功太郎さんが実際に操作しながら、開発コンセプトと特徴を説明してくれた。

 「M.T.S.」シリーズの開発コンセプトは“低重心設計”。タイヤサービスカーは限られた車室空間に多くの機材や備品を積まなければならない。それらはムダなく効率的に配置されるが、より多く積むことを追求すると、車両重量が増し、車高も高くなる。すると車両重心が高くなり、走行中の安定性に影響を及ぼしかねなくなる。

 「車両の重心が低いほど、ロールモーメントによる荷重移動量が減ります。それによりキャビンの揺れが少なくなるので走行安定性が向上します。ですから、車両設計は低重心のほうが良いのですね」、木崎さんはこのように説明する。

車両床下に収納されたエアタンク
車両床下に収納されたエアタンク

 デモカーは車両の床下にコンプレッサーとエアタンクを搭載した。また車両や機材の重量バランスを徹底的に検証したという。架装メーカーの老舗、田村総業株式会社(石川県白山市)と全面的に提携し開発を推進。“低重心設計”を実現した。

 それを立証するのが実車を使った転倒角度試験だ。デモカーは傾斜角30度をクリアした。木崎さんによると、一般的なサービスカーでは転倒してしまいそうな角度だそうだ。「運転していただければこの差を十分に体感していただけると思います」と続ける。

 なお、デモカーに搭載したコンプレッサーは10馬力と、出力をアップさせている。併せて、最新の超低騒音式発電機を搭載。作業効率を高めるとともに、作業環境の向上も図っている。さらに、発電機の両側面と背面をパネル式とした。これはワンタッチで脱着可能なので、発電機のメンテナンスを容易に行うことができる。

 「M.T.S.」シリーズのもう一つの開発コンセプトは「ウィングルーフ」の採用。カモメの翼を想起させる、ガルウィングタイプの片側ルーフは、跳ね上げ式のサイドオープンタイプに比べ、車道への張り出し量を約560mm抑えた。しかも、ウィングを全開したときに、その高さも格段に上がる。作業時のクリアランスをより大きく確保できるので、作業性が向上するのだ。

M.T.S.シリーズ
M.T.S.シリーズ

 「M.T.S.」シリーズのデモカーには、TBチェンジャー、PCチェンジャー、ホイールバランサーなど各種機材をフル搭載した。TBチェンジャーは自走式なので、リアのパワーゲートでの上げ下ろしも容易だ。ジャッキも通常タイプに加え、低床用を完備。これも車両の床下に収納することで、省スペースと低重心に寄与している。

 TB用タイヤの整備に欠かすことのできない安全ケージは、車両への固定がワンタッチの簡易式セーフティネットを用意。自動エア充填装置「パスカル」シリーズを組み合わせることで、安全で効率良く空気充填作業を行うことが可能だ。

 電源やコンプレッサーのスイッチ管理は制御パネル1カ所に集中させた。LED照明を車室のみならず、作業ベストやヘルメットにも搭載。他車からの視認性を高め、作業の安全性を確保している。また、TPMSやバックモニターを標準装備するなど、車両走行中の安全性を高めている。

 デモカーの外装デザインは、シルバーグレーとブラックを基調とした。これはタイヤチェンジャーのプレミアムモデル「ニューウィング」シリーズにリンクする。視覚に訴えるカラーリングを採用することで高級感と先進性をイメージし、差別化を図っている。

 同車の開発にあたっては、兵庫県の「革新的ものづくり技術の補助金」に採択された。担当する木崎さんにとって、開発へのモチベーションが大きくアップしたに違いない。

 「機材をフルに搭載し、タイヤサービスカーとしての機能を高めながら、作業環境の向上を図っています。新たな出張サービスをご提案する場として、このデモカーを活用していきたい」と、木崎さんは今後の展望を語っている。


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