東洋ゴム工業の中国拠点 高品質のタイヤを効率的に生産

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カテゴリー: レポート, 現地

 東洋ゴム工業の中国子会社、東洋輪胎張家港有限公司(TOYO TIRE(ZHANGJIAGANG)CO.,LTD.=TTZ)のタイヤ工場がこのほど竣工した。

A.T.O.M.の要素を導入

加硫工程
加硫工程

 改革開放以来、中国では経済が急成長し、モータリゼーションも一層の加速を果たしている。米国を抜き、今や世界第1位の自動車市場に躍進した中国。市場は今も拡大を続け、その先にはさらに大きな需要が潜在するとされている。世界のタイヤメーカーは収益の源泉として、旺盛なタイヤ需要を見せる中国市場に熱い視線を注いでおり、積極的に参入している。

 東洋ゴムは1995年、江蘇省昆山に台湾の正新橡膠工業股有限公司との合弁会社を設立し、1997年から乗用車用ラジアルタイヤを生産。国内メーカーとしてはいち早く中国市場に進出した。2002年には厦門市のマキシス国際有限公司などとの合弁会社に資本参加し、2004年からトラック・バス用ラジアルタイヤの生産を開始。中国市場における需要に対応していた。

 しかし、中国でのタイヤ需要は所期の予想を上回る勢いで伸長。合弁事業では充分にそれに対応しきれなくなってきたことから、東洋ゴムは09年、中国における2つのタイヤ生産の合弁事業の解消を決断。併せて、同社の独資によるタイヤ工場の新設を表明した。それがTTZである。

 TTZは、乗用車用とライトトラック用タイヤの製造・販売を目的として、2010年4月19日に設立。同年9月9日に現地で工場建設の起工式を行っていた。今回竣工したTTZでは、新工法A.T.O.M.の要素技術を導入し、高品質で高性能のタイヤを高効率・高生産性で生産することを実現。第1期として年間200万本のタイヤを生産していく。

 東洋ゴムでは10年後のありたい姿を描いた長期ビジョン「ビジョン’20」とその里程標となる中期経営計画「中計’11」を発表。その中で、「世界3極でのグローバル供給」を掲げており、15年時点で日本2600万本、北米650万本、アジア1250万本という「4500万本供給体制」の確立を目指している。

 同社はまた、TTZの建設と同時進行で、マレーシア・ペラ州に新タイヤ工場建設を決めている。さらに、この4月に中国シルバーストーン社の子会社だった山東銀石濾河橡輪胎有限公司(山東省諸城市)をグループ化。6月にはその商号を東洋輪胎(諸城)有限公司に変更するなど、TOYOブランドのトラック・バス用タイヤの生産開始にも道筋をつけた。

 今回のTTZの竣工によって、東洋ゴムが目指す「世界3極でのグローバル供給体制」の礎は整った。

「アジア生産の要」

 12月8日、現地で共同会見が行われた。中倉健二東洋ゴム社長の挨拶は以下の通り。

中倉社長
中倉社長

 「TTZは米国ジョージア州のTNAに次ぐ第2番目の海外タイヤ工場となる。自動車産業の今後のグローバリゼーションを見据えたとき、今後の成長市場である中国に最新の自社工場を設立できたのは意義深く、感慨無量だ。

 アジアにおける生産供給の要(かなめ)はこのTTZである。まず、足掛かりとして12年に年産200万本の生産供給から始め、市場動向などを踏まえながら、さらに必要な拡張を検討していく。

 同業のグローバルプレイヤーの中では中国での生産拠点確立が遅れてしまったものの、当社は付加価値の高いモノづくりをこの工場で実現する。当社は世界的にも最高峰クラスの高精度なタイヤ生産技術を有しており、TTZにはその新工法の要素を取り入れた。

 当社は高性能かつ高品質の製品を中国市場に送り出すことで、中国の社会、経済の発展に寄与していきたいと考える。この中国で地域の特性、消費市場のトレンドや変化を見極め、最適な販売戦略を練りながら、当社独自の製品価値を市場に浸透させていきたい」

 一柳満TTZ董事長(東洋ゴム取締役常務執行役員)挨拶 「新工法A.T.O.M.で生産されたタイヤはユニフォミティに優れ、バランスウェイトも従来品と比べ4分の1程度となる。この新工法を今後、新規開設していく工場に継続展開することで、新興国においても高度な品質と性能を確保したタイヤを世界中の市場で供給していくことが可能になる。これらの生産技術開発は日本で行い、全世界へ発信していく。

 地産地消の考えのもと、消費者により近い地域での生産を行っていく。最新の工場には最新鋭の生産設備を導入し、最新技術を惜しみなく投入していく考えである。また、昨今の環境問題を非常に重視しており、TTZは省資源でクリーンな工場としている」


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