イエローハット糸魚川 生き残るために消費財を

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カテゴリー: ディーラー, レポート

 北陸自動車道・糸魚川ICと国道8号線とをつなぐ千国(ちくに)街道。別名・糸魚川街道、松本街道とも呼ばれるこの道は、日本海から塩や海産物を、信州からは農作物を運ぶために切り拓かれた、古(いにしえ)から栄える通商ルート。イエローハット糸魚川店は、その千国街道沿いに面する。

 所在地は新潟県糸魚川市上刈6-2-20。店の敷地はスーパーや家電量販店をテナントとする巨大な複合商業施設にほぼ隣接する。このエリアでもっとも高い集客力を有している。その意味では絶好の立地条件にある。街道沿いにはほかにも、地元生活者のための店舗が建ち並ぶ。通商ルートとしての機能は今も健在なのだ。

イエローハット糸魚川
イエローハット糸魚川

 同じく隣接する明星セメントの本社・糸魚川工場は威容を誇る存在。建設分野での強需要により、工場はフル稼働が続く。セメントを運ぶトラックがひっきりなしに店の前を走り抜ける。つまり、この街道を利用する人々にとって、店は往来の風景に既に融け込んだ存在として認知されているに違いない。

 イエローハット糸魚川店は、リトレッドタイヤの製造・販売をメイン事業とする株式会社高瀬商会(糸魚川市、高瀬吉洋社長)の営業拠点の一つとして開設された。グランドオープンは1997年7月。店長は佐藤靖さん。スタッフは7名の陣容だ。

 ところで、高瀬商会はなぜ、カー用品販売の事業を手掛けるのか。また、なぜイエローハットなのか――そんな素朴な疑問を高瀬社長に聞いてみた。

 「話せば長いのですが」と、前置きする高瀬社長。同社に入社する前にメーカーに在籍していたが、その前、学校を卒業してすぐに、当時のイエローハット本部(株式会社ローヤル)の東京支店に入社。カー用品の卸の営業を担当していたのだそうだ。そこでオーナーの経営哲学に接し、当時、強く感銘を受けたともいう。一つにはそのような〝縁〟があったこと。そしてもう一つは、高瀬商会の事業形態に深く関係する。

高瀬吉洋社長
高瀬吉洋社長

 同社はリトレッドをメイン事業として展開していることから、それまで生産財タイヤの販売が主力となっていた。だがこの先、生き残っていくためには消費財タイヤをこれまで以上に一層積極的に販売しなければならない、また会社全体でみてタイヤのみに集中するのではバランスに欠ける、今後の成長戦略としてタイヤ以外の商材も扱う必要がある  そのような複数の観点から総合的に判断し、イエローハットとして出店したと、高瀬社長は答える。

 開店から17年。市内ただ1店のイエローハットとして、その存在は地元では知れ渡っている。「チラシで来店を促す、〝待ち〟の営業は大きな商圏ではそれなりに効果的かもしれない。だが、糸魚川のような小さな町だから、高瀬商会が持つ地元のいろいろなつながりを活かした、言わば〝攻め〟の営業を展開している」と、高瀬社長は言う。

 たとえば、高瀬商会が取り引きする法人の従業員の方が用品を購入し取り付けたいのだが来店する機会がない  そういうケースがあったとしよう。この場合、同店ではスタッフがユーザーの勤務先に出向いてそのニーズに対応する。他のカー用品量販店ではそのような対応は希有に違いない。「バッテリーがあがった、すぐに交換に来てほしい」、そういう依頼も多いそうだ。地元密着を信条とするからこそ、そのようなアクティブな取り組みができるのではないだろうか。

 これまでの歴史を振り返ると、用品の売れ筋はやはりさまざまに変化してきている。とくに顕著なのがオーディオ。当初は売上げ構成比で30%以上を占めていたが、現在は12%~13%程度。半分以下に減じた。一方、タイヤ販売は堅調に推移している。現在の構成比は35%。カー用品全体で38%、サービス工賃が17%、残りがその他となる。このような変化にミートすべく、今、力を入れているのが車検整備だ。限定認証を取得し、車検へのニーズに対応している。

 さらにもう1点、注力しているのがピット販売。カー用品店では商品の販売は店内で行うのが一般的だ。だが「当店ではお客さまがピットに入ったときに、バッテリー、タイヤの空気圧、ATFの汚れ、この3点チェックを目の前で必ず行います。タイヤ交換のお客さまにはそれに加えて、溝チェックと窒素ガス充てん、ハブ防錆のお奨めも行います」と、高瀬社長は説明する。

 ほかにもラジエター圧を測定しラジエターキャップの交換を奨める、ワイパーの拭き取り具合を確認しブレードの交換を奨める。ドライバーがわからないことを、メカニック担当スタッフがプロの視点で気付かせ、それにより商品の販売につなげるという手法が『ピット販売』なのだ。その取り組みの成果が収益面に現れているそうだ。

 またタイヤの場合、1度購入すると、次に来店するまで数年かかることがある。だが、用品を幅広く扱うことで、来店頻度は格段に増える。「お客さまとコミュニケーションをよくとることで、常日頃からより良い関係をつくることが重要」――高瀬社長はそう言う。

スタッフ
(左から)石崎綾花さん、松沢美代子さん、横澤章さん、霜越大志さん、嶋田勇貴さん、縄良美さん、佐藤靖店長

 スタッフ7名のうち、女性は3人。そのうちのひとり、縄良美さんは自動車整備士の資格を持つ。現場では男性と並んでメカニック作業を行うという。また、この7人以外にも、繁忙期など状況に応じて、高瀬商会が運営するタイヤ販売店「タイヤプロ糸魚川店」からスタッフが応援に入ることもあるそうだ。

 「多忙なスタッドレス商戦期に、お客さまをお待たせすることがないように努める工夫。このような人的支援が可能なのは当社の強みの一つ」(高瀬社長)。高瀬商会グループの総合力をそこに見ることができる。

 「ここへ行けば何でもやってくれる。ここに任せておけばクルマのことは安心だ――そういうお客さまから頼られる店になっていたい」、開店20周年を控え、高瀬社長が描く目標に一丸で取り組んでいく。


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