ブリヂストン 冬タイヤ開発の中心地「北海道プルービンググラウンド」

シェア:
カテゴリー: レポート, 現地

冬タイヤ開発の中心地

 ブリヂストンは日本、欧州、北米、中南米、アジアと世界8カ国に合計10カ所のテストコースを有しており、各市場のニーズに合った試験を行っている。その中でスタッドレスタイヤに関しては北海道士別市にある冬用タイヤ専用のテストコース「北海道プルービンググラウンド」が中心的な役割を担う。同社は1月31日、現地にメディアを招いて同施設の見学会を実施した。

登坂路
登坂路

 「北海道プルービンググラウンド」がある士別市は旭川市から約50km北に位置する。安定した降雪が見込まれ、最低気温はマイナス25度にもなる。近隣地区を含めると複数のタイヤメーカーや新車メーカーの試験場がつくられ、厳しい冬の気候を利用したテストが行われている。

 同社実車試験部の大倉慎矢課長は「以前は苫小牧市近辺などの湖上に設けた特設コースで試験を行っていたが、スパイクタイヤが禁止され、また市場の要求が多様化してきたために試験量が増加し、専用のテストコースが必要になった」と話す。

 同施設は1996年10月に運用を開始。総面積は東京ドーム約50個分に相当する236.9ヘクタールと広大で、同社が栃木県に保有するテストコースの約3倍の規模を誇る。これまで5回の拡張を実施しており、現在の開発区域は合計140ヘクタール。まだ4割程度が未使用のため、将来のコース拡張の余地が十分にありそうだ。

 試験期間は例年12月上旬から2月下旬までの約60~80日間。常時10~20人のスタッフが栃木から派遣され、乗用車用タイヤからトラック・バス用タイヤまで様々な種類の実車試験と評価・検証作業を繰り返している。1シーズンにテストを行うタイヤ本数は新車用タイヤも含めて延べ1万5000本に及ぶ。夏季はニュージーランドなど南半球に移動、またドライ路面の試験は栃木県にあるテストコースや札幌地区などで行っている。

 コースは、氷雪上でのハンドリングやブレーキ性能、坂道発進や下り坂でのフィーリングなどスタッドレスタイヤに求められるあらゆる試験が可能で、一般道を模した市街地路では総合的な試験を行っている。

氷上ドーム
氷上ドーム

 また敷地内には全長100mの氷上ドームが設置されている。内部には50mと80mの直線路があり、天候や気温の変化に左右されずに安定した路面状態での氷上テストが可能となっている。こうした設備を有しているのは世界的にみてもまだ少ないようだが、「氷の上を屋根で覆うというコンセプトは10年以上前からあったが、このドームが完成したことによって、試験の精度、効率が飛躍的に高まった」(大倉課長)

 ここではタイヤの開発以外に、販売店を招いた試乗会やCM撮影といった販売促進のサポートも行われているが、数年前に各種試験コースをコンパクトにまとめた第2総合路を設置。これにより通常のテストを中断することなく、効率的にスケジュールを消化できるようになったという。

 なお、正確なテストに欠かせない路面コンディションの管理は、シーズンを通して路面製作のノウハウを持つ地元の建設業者に委託しており、地域の雇用創出にも貢献している。

 各社はここ数年、開発技術を進化させ、従来は達成できなかった領域まで性能を進化させている。その一方で数字だけでは表せない部分――様々な視点から人間の五感で官能評価を行うことができるテストコースが担う役割は依然として大きい。

 大倉課長は「シーズンや環境条件による路面の違いがあり、色々な見方を増やさなければならない。一時期は札幌などでミラーバーンが有名だったが、最近では(凸凹のある)ソロバン路面が出てきた。常に新しい見方を増やしていかなければ満足した性能を得られない」と話し、今後もユーザーの目線で、あらゆる角度から製品のテストに取り組んでいく考えを示した。

 競争が激化し、生産・販売のグローバル化が加速していく中、冬タイヤの試験開発の中心地はこれからも日本であることに変わりがないようだ。


[PR]

[PR]

【関連記事】