住友ゴム 世界最大の自動車市場・中国でプレゼンス向上図る

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カテゴリー: レポート, 現地

市販用・新車用で2000万本を販売

 急速なモータリゼーションの発展を背景に中国の乗用車用タイヤ市場は、昨年1億5000万本を突破。今後さらに成長を続け、2013年には2億本、2020年には3億本市場まで拡大する見込みだ。住友ゴム工業は、世界最大の自動車市場である中国で2つ目のタイヤ生産拠点が完成したのを機に、販売面でもさらなる攻勢を図る。

 中国市場におけるダンロップタイヤのシェアは、数多くのローカルメーカーが製造販売する小口径の廉価品を除いて現在6~7%とみられる。これを湖南新工場がフル生産に入る2015年までに約10%、販売量にして2000万本まで拡大したい考えだ。

郊外も道路整備が急速に進み、高級輸入車も目に付く(常熟市内)
郊外も道路整備が急速に進み、高級輸入車も目に付く(常熟市内)

 この7月に会社設立10周年を迎えた住友ゴム工業の中国におけるタイヤ製造販売会社「住友ゴム(中国)有限公司」は、昨年本社を江蘇省・常熟工場敷地内に設置。さらに、今年末までに4つの現地販売会社(北京、大連、上海、広州)をその傘下に配置するなど、中国事業を製販一体で運営する体制に改革を進めている。

 常熟、湖南両工場で生産された市販用タイヤは、販売会社を経由し、中国全土45社の代理商を通じてエンドユーザーのもとへ届けられる。同社は販売が急増するエリアでは、代理商を分割するなど、各省ごとによりきめ細かいセールスを展開している。

 販売チャネルは、日本とは大きく異なる。日本では全チャネルの中でカーショップの占める割合が約25%と高いが、ここ中国ではわずか数%にとどまる。半面、タイヤ専門店が販売全体の7割以上を占めている。従って、タイヤ専門店との連係を強化し、内容の充実に注力していく。

 同社はタイヤ専門店を販売量によって分類しており、その中でとくに「タイヤ・マスター」「タイヤ・エクスプレス」と呼ぶ旗艦店を拡大する。前者はダンロップの月間販売量が200本で面積が150平方メートルの店舗、後者は主に大都市圏で月に300本以上のダンロップブランドを取り扱う面積300平方メートル以上の店で、代理商と共同で店舗の開発を行う。

上海市内
モータリゼーションの発展が進む(上海市内)

現在、「タイヤ・マスター」と「タイヤ・エクスプレス」の店舗数は合計153店だが、これを今年末までに250店舗、さらに2015年末までに1000店舗まで拡大する計画だ。

 同時に製品ラインアップの拡充を図る。住友ゴム(中国)有限公司の髙見昌文董事長は「これまで中国市場では日本市場向け製品を流用したものが少なくなかった。だが、中国市場から信頼を得て、ブランドを認知して頂くため、近年は中国市場のニーズに合った専用タイヤの開発を進めてきた」と話す。

 具体的には、今年に入り低燃費タイヤ「ENASAVE EC503」やSUV用タイヤ「GRANDTREK AT3G」を発売開始。さらに7月からはボリュームゾーンに「SP TOURING T1」を投入、110万本の販売目標を掲げ、拡販に挑む。

 一方の新車用タイヤ。中国市場では「新車装着をいかに増やすか」が成長の鍵を握る。中国のユーザーの多くは、履き替えの際、新車に装着されていたタイヤと同一ブランド、同一パターンを求める傾向が強い。「日本がむしろ特殊かもしれない。中国は欧州市場に近い感覚」(同社OE営業部長の原田充博氏)だという。

 カーメーカーが「その車両に最適である」と判断し、採用したタイヤは、ユーザーからしても“本物である”と考えられるわけだ。そのためブランド認知度を向上させるには、新車採用が重要な戦略となる。

 同社はこれまでトヨタ、ホンダ、日産など日系メーカーのほか、中国で最大シェアを誇るVWからも認証を受けており、今後さらに多くのカーメーカー・車種への採用拡大を目指す。

 なお、新車用タイヤの製造はこれまで常熟工場で行っていたが、2014年以降は、湖南新工場でも生産をスタートする計画。また将来的には、中国でも人気の高いBMWなどに標準装着されているランフラットタイヤの製造・販売に取り組む可能性も示唆した。

 世界最大の自動車市場・中国では、ミシュランやブリヂストン、ピレリなど世界の主要メーカーが生産・販売体制の強化を図っている。こうした中、同社は「これからも市場をリードするトップメーカーとして存在感をしっかり示していく」(髙見董事長)と、さらなる販売増に向け、強い意志を表明した。

競争激化する上海地区で取り扱い店舗拡大

上海市にある「タイヤ・マスター」
上海市にある「タイヤ・マスター」

 上海市の中心部からほど近い閘北区にある「タイヤ・マスター」のひとつを見学した。同店が販売するタイヤ商品は100%ダンロップブランド。販売量は月に約500本を数える。

 リー・ドンハイ代表は、「売上の6割を占めるタイヤをはじめ、ホイールや用品など全て“本物”を扱っているのがライバル店にはない強みだ。当店は価格競争はしない」と語る。

 現在の売れ筋は「SP SPORT LM703」や「DIREZZA DZ101」だが、「低燃費タイヤへ関心が高まっているのは確か。来店者の3、4割が関心を示す」としている。

 住友ゴム(中国)有限公司リプレイス営業部長の濱田裕史氏は「都市部の競争は激しいがこうした店を増やし、取り扱いを増やしていく」と話し、年末までに上海市内全域で現在の16店舗から25店舗まで拡大する方針を示した。

2011年の新車販売 3年連続世界一に

 2011年の中国の新車販売台数は前年比2.5%増の1850万5100台。伸び率は2010年の32%増から大きく鈍化したが、3年連続で世界一になった。乗用車の販売シェアはトップがVWの17.8%。次いでGM(9.9%)、ヒュンダイ(9.4%)の順。今年上期の販売状況をみるとBMWが30.7%増、トヨタが18.6%増など主要メーカーは成長を維持している。


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