東洋ゴム マレーシアの2工場を軸にアジアで攻勢図る

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カテゴリー: レポート, 現地

「一緒に働き、夢を共有したい」中倉会長が現地で会見

マレーシア工場
マレーシア工場

 開所式後に行われた記者会見の席で、中倉健二会長は次のように述べた。

 ■新工場をマレーシアに決めた理由

 マレーシア以外にも候補地があり、タイやベトナムなどを調査していた。その中で、オフテイクを検討し、その候補のひとつがシルバーストーンだった。交渉の中で買収を提案された。中国工場はやはり中国市場向けであり、そこからの輸出は難しい。中国以外でアジアから世界に供給できる工場が欲しいということでマレーシアに行ってみた。シルバーストーンの経営状況は非常に優秀で、真面目な経営をしている会社だった。営業利益率は2桁と、世界のタイヤメーカーの中で10本の指に入る。

 良いオペレーションをしていたが、知名度が低く、成長は限られていた。我々と一緒になることで夢を共有しながら働いていけるのではと考えた。今回竣工した新工場にも近く、兄弟工場として運営できる利点もある。

 新しい工場で一番大変なのは、人の教育を一から始めることで、中国工場は今でも苦労している。しかし、既存のシルバーストーンの方々と一緒になることにより、早く成果をあげられる。人件費や土地が安いからではなく、決め手は人。「シルバーストーンの方々と一緒に働きたい」ということがマレーシアに決めた理由である。将来1000万本が生産できるよう当初から土地も広く買っている。一生懸命働き、「次の夢がある」ということを見てもらいたい。

 ■最新の生産技術「A.T.O.M.」の要素を導入

 北米に進出した時、「なぜこのタイミングで」と言われたが、精度の高いタイヤを生産すればチャンスはあると考え、フルオートの設備を持ち込んだ。バランスウエイトは他社と比較してわずか4分の1。この性能が認められ、今や北米抜きでは当社は成り立たないほど高い利益を出している。

 我々はアジアに進出する一番最後のグローバルプレーヤーだと認識しているが、先行他社はコストを意識した工場づくりをやっているのかもしれない。我々は逆に技術流出のリスクを冒してでも良いモノづくりをする。最先端の機械を持ち込み、他社にはできないものをやる。こうすることで存在感を出せる。中国の張家港にA.T.O.M.の基本技術を採用した工場を建設し、同じものをマレーシアにも持ち込んだ。

 今後、ますますイヤに低燃費性能が要求される。既存の設備では製造できない高性能タイヤを新工法の技術であれば対応できる。我々は新しい工場を建設する時は、最先端の一番良い技術をそこに導入する。世界で戦っていくためには安ければ良いというのではない。 

 ■他社よりも良い製品づくりを

 マレーシアは輸出拠点となる。国内で生産している低燃費タイヤ「ナノエナジー」のAAAクラスも製造できるので、欧州などにも発信していく。最近、日本の製造業はアジア勢の追い上げなどで厳しい戦いを強いられているが、モノづくりは良い製品を作ることが基本。他社よりも良いモノを作る――これをキープコンセプトしていくことが大事である。安易に安くするのではなく、お客様に信頼して購入して頂けるモノづくりを目指していく。


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