東洋ゴム、戦略市場のアジアでブランド認知度向上目指す

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カテゴリー: レポート, 現地

戦略市場アジアで認知度向上図る

 東洋ゴム工業はマレーシア新工場竣工を機に、同社が戦略市場と位置づける東南アジアでの販売体制を強化する。同エリア初の現地販売会社として設立したマレーシア販売会社では、「TOYO TIRES」ブランドを市場に浸透すべく、タイヤディーラー網を積極拡大し、市場でのプレゼンスを高めていく。

マラッカ市内
渋滞する夕方のマラッカ市内

 東南アジアの2012年の新車販売台数は、タイ、マレーシア、インドネシアなど4カ国が過去最高を更新した。経済成長に伴う中間層の台頭で、主要6カ国合計で前年比33%増の347万9446台と大幅に伸張。販売台数世界1位の中国(1930万台)や2位北米(1449万台)には及ばないものの、ロシア(293万台)を抜き、インド(358万台)に肩を並べる規模にまで成長した。

 東洋ゴム工業のマレーシアにおける製造販売会社、トーヨータイヤマレーシアの笠井完二社長は「タイはピックアップやSUV、インドネシアはマルチパーパスビークルの人気が高い。そしてマレーシアはコンパクトカーが多く走っている。従来は各市場別に戦略を構築してきたが、当面はマレーシアとタイに的を絞って徹底的にブランドを拡充し、そこから横展開を図っていく」と意気込む。

 同社は2011年4月にマレーシアに東南アジア初のタイヤ販売会社を設立、さらに今年4月にはタイにも全額出資の販売会社を設立した。これまでは現地代理店を経由した販売活動を行っており、また製品は日本や中国工場からの輸入に頼っていた。だがマレーシア新工場の竣工を機に、今後は東南アジアにおける地産地消を確立していく。

 「新工場が稼働したことで、供給の自由度が高まり、SUV用やピックアップトラック用など様々なラインアップを送り出すことが可能となる。また市場ニーズに応じてグローバルブランドNANO ENERGYを投入し、低燃費タイヤの市場もリードしていきたい」(笠井社長)。

 同時に、OE向けの販売も強化する。東南アジアでは、欧州や中国などと同様に、ユーザーのOE装着タイヤへの信頼度は強く、履き替え時も同じブランドを選択するケースが多い。東南アジアに早くから進出し、圧倒的な存在感を示す日系カーメーカーを中心に採用を働きかけていく。

 マレーシアのリプレイス市場はコンチネンタル、グッドイヤー、東洋ゴム子会社のシルバーストーン、ミシュランのシェアが高く、このほか日欧韓のブランドがひしめき合っている。TOYO TIRESのシェアは現在2.5%~3%。これを2年後に5%まで高めていく方針だ。

 従来からPROXESブランドを中心にハイパフォーマンスタイヤを販売してきたため、ライバルと比べてブランド認知度は高いという。その一方、「プレミアムゾーンに特化したブランド」と認識されている面もあるようだ。今後は、「そのひとつ下のカテゴリー」も含め、市場ニーズに合った商品を充実させ、攻勢を図っていく。

 同時にリテール戦略の強化にも乗り出した。TOYO TIRESの看板を前面に掲げ、他社製品より販売比率が高いタイヤディーラーを旗艦店と位置づけ、その拡充に取り組む。ここでは顧客との対話により、ニーズを細かく掘り起こすマーケティング活動も併せて進めていく計画だ。

 トーヨータイヤマレーシアの秀島公亮氏は「現在、こうしたディーラーは8店舗あるが、当社のマーケティングに賛同して頂けるようなオーナーを中心に今後、約40店舗まで拡大したい。知識の豊富なスタッフにより、顧客サービスを充実させ、地域に根付いたブランドとしてTOYO TIRESへの信頼を高めていければ」と話す。

 新工場から供給される製品と、それを訴求するイメージショップが両輪となり、今後も成長が見込まれるマレーシア市場でプレゼンスを高めていく考えだ。


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