ミシュランの産業車両用ラジアルタイヤ 高いライフ性能と安全性向上を実現

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カテゴリー: レポート, 現地

バイアスとの明確な違いを訴求し市場を開拓

 工場や倉庫内で所狭しと動き回り荷物を運搬するフォークリフト。物流を支えるためになくてはならない存在だ。その足元を支える小型産業機械用タイヤでミシュラン製品がユーザーから評価されている。関西に拠点を置く大手運送会社では「本当に素晴らしい製品で、コストメリット、安全性は期待以上だ」と称賛する。その一方で導入時の価格の高さがネックとなり、市場では浸透しきれていないのが現状だ。この状況をどう打開していくのか――日本ミシュランタイヤの取り組みを追った。

日本ミシュランタイヤの佐野氏
日本ミシュランタイヤの佐野氏

 小型産業車両用タイヤは大きく3種類に分類される。バイアスタイヤ、ソリッドと呼ばれるノーパンクタイヤ、そしてラジアルタイヤだ。マーケットの大半は前者2つで占められていることから、ラジアルを生産するメーカーは一部に限られている。

 日本ミシュランタイヤ大型タイヤ事業部マーケティングマネージャーの佐野恒彦氏は「一部の国内メーカーもラジアルを生産しているが、積極展開しているのは当社のみ。我々はラジアルのパイオニアとして、その優位性を提案する」と話す。

 その最大の特徴はロングライフだ。バイアスより接地面積が広く、荷重が均一に分散されるため、偏摩耗が抑制され、ライフは大幅に延びる。また同社製品は非常に深溝のトレッドを有しているのも特徴。さらに強固なスチール構造でできているため、外傷に対しても威力を発揮する。使用条件によって異なるが、バイアスと比較して3倍から5倍程度は長持ちするという。

 加えて、安全面でもメリットがある。それは「T.B.S.(チューブレス・ビード・シール)」と呼ばれる独自システムが装着できる点だ。これは使用中のチューブタイプ・ホイールに装着するだけで、チューブレス化を実現するというもの。空気入りタイヤなので、当然パンクのリスクはある。ただ、損傷を受けた際、このT.B.S.が装着されていれば、完全にパンクするまである程度の時間を稼ぐことができる。このシステムはミシュランのラジアルのみ装着が可能。

 さらにもう一つ、ラジアルとバイアスには大きな違いがある。それは乗り心地だ。フォークリフトの振動がオペレーターの身体へ及ぼす影響、とくに腰へかかる負担は以前から問題視されている。フォークリフトは一般的にシートのサスペンション効果が低い車種も多く、路面からの突き上げがダイレクトに伝わるため、腰痛に悩まされるオペレーターも少なくない。

 「その点、ラジアルはサイドがたわむので、ショックを吸収する。荒れた路面でも安定した走行が可能なので作業者への負担が軽減され、少しでも健康被害を減らす手助けになれば」(佐野氏)。

 乗り心地が良くなる半面、運転感覚の違いに繋がることはないのだろうか。この点に関しては“慣れ”が大きいそうだ。トラック用タイヤでもバイアスからラジアルに変わっていく過程で、多くのドライバーは相当な違和感を覚えたであろうが、今ではラジアルが当たり前になっている。そうなると今後は硬いタイヤには戻れなくなる。それは産業車両用タイヤでも同じことだといえるかもしれない。

ターゲットを絞り拡販に挑む

 これだけ多くのメリットがあるにもかかわらず、市場でラジアル比率は大きく広がっていかないのが現状だ。その最大の理由は、バイアスの2倍以上というイニシャルコストの高さだ。

 首都圏のタイヤディーラーでは「確かに頑丈でビードもしっかりしている。その代わり作業に要する時間は長くなる。過酷な場所で摩耗が早くて困っているお客さまには良い製品かもしれないが、例えば地場の物流倉庫ではそこまで求めなくて良いのでは」と話す。また「長持ちするからこそ、空気圧などメンテナンスはより慎重に行う必要がある」と指摘する。

 その点について同社でも「長いスパンで考えればディーラーさんにもメリットはあると思うが、既存顧客に導入すると、短期的には売り上げが減少するなどマイナスの影響を与える可能性がある」と認識している。

 その上で「我々が想定しているのは、価格がラジアルとさほど変わらないソリッドを使用している方々。ディーラーさんにとっても、これを新規開拓の一つの武器にして頂ければと思う。性能差が分かりやすく、訴求できるポイントになるのではないか」と話し、ターゲットを絞り込んだ戦略で拡販に取り組む。

 実際、ラジアルの優位性は着実にユーザーに認知されてきており、最近では大手製紙メーカーや製鉄所への納入が決まるなど導入企業は増加している。さらに廃タイヤの減少など環境面からもアプローチできるため、今後も可能性は広がる。佐野氏は「産業車両用タイヤにおいてラジアル比率が低いからこそ、開拓の余地は多く残されている」と意欲をみせる。


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