ミシュランの「X One」ソリューションで輸送効率改善へ

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カテゴリー: レポート, 現地

ミシュランの「X One」

ダブルタイヤを“シングル化”し輸送効率改善

 近年のトラックは、環境規制への対応や安全装備の増加などにより、空車時の車両重量が増加傾向にある。それは言いかえれば、積載できる荷物が減少し、輸送効率の低下につながる。こうした輸送業界の課題に対し、ミシュランでは「ワイドシングルタイヤ」を新たなソリューションとして提案している。普及が進む欧米に対し、国内での装着事例はまだ少ないのが現状だが、大きな成果を上げている物流会社も少しずつ現れてきた。日本ミシュランタイヤは11月18日、千葉県松戸市にあるタカラ物流システム(株)でプレスセミナーを開催し、その成功事例を紹介した。

 大型トラックの車両重量が増加する中、積載量の減少や燃費効率の低下が課題となっている。こうした問題を解決するための切り札として期待されているのがミシュランのワイドシングルタイヤ「X One」だ。

  「トラックの後輪に装着されている2本(ダブルタイヤ)を1本にする」というコンセプトで開発された「X One」を、日本ミシュランタイヤが国内市場に初めて導入したのは2007年。車両1軸あたり約100kgもの軽量を可能にし、環境負荷低減とコスト削減を同時に実現できるため、すでに全国の物流会社8社・50台が採用している。

ミシュランの「X One」ソリューション
通常のダブルタイヤ(左)と「X One」(右)

 そのうちの1社、タカラ物流システム(株)では、いすゞ・ギガ15トン積載車に今年初めて「X One」を採用した。

 宝酒造(株)の関連会社である同社は、納品頻度の削減によるサービスの向上、車両台数の削減による環境への負荷低減を図るという目的で2010年に15トン車を導入。その車両では燃料タンクの容量を減らし、床面を総アルミにするなど、従来の常識にとらわれない様々な工夫を施すことで、積載パレット数を10%増やすことに成功した。その上で「一層の軽量化のために、ミシュランの採用を決めた」(丸山利明常務執行役員)。

 丸山常務は「X One」のメリットについて、軽量化による燃費改善および積載効率の向上と、メンテナンスの省力化を挙げる。

 同社の車両で比較した場合、「X One」装着車は短距離運行がメインであるにもかかわらず、長距離運行が多い従来のダブルタイヤ装着車より3.4%燃費が向上した。「これはタイヤだけではなく、車両の効果もあるが、3%の改善は元々期待していたので、それ以上の結果」。このデータは走行距離が1万~2万km時点での結果のため、今後、距離が増えればさらなる燃費向上が見込まれる。同社の積載率は通常80%ほどで、「多くの荷物が必ずある当社にとっては、大きな違い」

 積載効率が従来の20パレットから22パレットへと1割増加したことで、1台当たりの売上が向上。その結果、投資コストを上回る業績への貢献が示されているという。

 さらに同社はタイヤのメンテナンスに関しても「始業点検の時間が半分になった」と説明する。その理由はシンプルで「タイヤは1本のみだから」。内側のタイヤがないため、バルブへのアクセスが容易になっただけではなく、冬タイヤへの交換やタイヤ管理もこれまでの半分になった。

 なお「X One」装着車は軽量化のためにスペアタイヤを積載せず、TPMSを装着した。万が一、走行中にタイヤのトラブルが発生した際は、タイヤディーラーへ連絡して必要な対応をとる。「とくにミシュランはそういう体制を築いているので安心している」(丸山常務)。

積載量を約1割増やすことに成功した
積載量を約1割増やすことに成功した

 同社では今後の計画として来年導入するタンクローリーをはじめ、新車で導入する大型車は全て「X One」を装着する予定だ。

 「他のタイヤメーカーも追随してくると思うが、コストを数字で比較してミシュランが最も良かった。『X One』を装着した当社のトラックは安全性が高く、利益貢献ができている。積載効率の向上による売上アップと燃費の改善は、どこの会社にもメリットが出るのではと考えている」

 これだけのメリットがあるワイドシングルタイヤだが、すでにミシュランだけで100万本の採用実績がある北米などと比べ、国内ではさほど普及していないのが現状だ。国内トラックメーカーが「前例がない」といった理由からOE採用に消極的なためだ。

 この点について日本ミシュランタイヤトラック・バスタイヤ事業部の高橋敬明執行役員は「タカラ物流様では一番ポピュラーな大型トラックに装着して頂いた。これにより引き合いが多く来ている」と話す。また「ワイドシングルを一般的なものにできる」という理由からライバルメーカーの参入を歓迎している。「ミシュランの『X One』は各社の中で唯一、駆動軸にも使用できるだけの耐久性がある。ロングライフ性能にも定評があり、ライバルに打ち勝っていける」と自信を示す。

 同社では、需要の高まりを背景に、来年以降は装着車両を現在の2倍程度まで引き上げていく考えだ。


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