加速する環境技術 飽くなき技術革新 住友ゴム「環境対応技術セミナー」開催

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カテゴリー: レポート, 試乗

環境対応技術セミナー

加速する環境技術 飽くなき技術革新

 住友ゴム工業は9月20日、21日の2日間、神戸本社および岡山県のテストコースで、「環境対応タイヤ技術セミナー」を実施した。最新の開発技術の紹介や「100%石油外天然資源タイヤ」の量産体制が確立したことが発表されたほか、近い将来製品化が期待される「軽量化タイヤ」やラベリング制度「AAA-aタイヤ」などの試乗も行われた。同社の環境技術開発の一端をレポートする。

 神戸本社で行われた技術説明会では、石油や石炭などの化石資源を一切使用しない「100%石油外天然資源タイヤ」、新材料開発技術「4D NANO DESIGN」に関するプレゼンテーションが行われた。

 冒頭、挨拶に立った広報部の窪田静磨部長は「我々は経営の最重要事項として『タイヤはどうすればもっと地球環境に貢献できるのか』を考え、原材料、低燃費性、省資源という3つのテーマで環境配慮商品の開発に取り組んでいる」と述べ、今後も一層の技術開発に取り組んでいく方針を示した。

 同社は2001年から化石資源に頼らないタイヤの開発をスタートさせ、06年に石油外天然資源の使用比率70%を実現した「ENASAVE ES801」を発売、さらに08年にはその使用比率を97%まで高めた「エナセーブ97」を発売している。そして昨年「100%天然資源タイヤ」のプロトタイプを発表。今回のセミナーでは量産体制が確立され、2013年秋に市販モデルを発売すると発表した。

 材料開発本部材料第一部の和田孝雄課長は「キーワードは“全ての有機物をバイオマス資源”」とし、「100%石油外天然資源タイヤを開発するには、バイオマスを燃焼し炭素成分にする技術と、バイオマスから芳香族化合物を作る技術が必要だった」と説明する。

 「エナセーブ97」を発表した時点で、残り3%の石油由来原材料は老化防止剤、加硫促進剤、カーボンブラックの3つだったが、老化防止剤と加硫促進剤については、反応促進剤を使用することで芳香族化合物化することに成功。すでにプラントを導入し、今年から生産を開始している。カーボンブラックは、「酸素を含むのがネックだった」が、原料の選択と燃焼条件の検討によりバイオマスカーボンを量産レベルで作り出すことが可能になった。

 今後、100%石油外天然資源タイヤの考え方を一般タイヤにも拡大していく可能性も示唆した。

「京」の活用によりさらに進化する材料開発技術

 近年はタイヤに求められる性能が多様化している。そのため材料開発のスピードアップが求められていたが、従来はナノ領域の可視化とシミュレーション領域の拡大が課題だった。それに対応すべく誕生したのが「4D NANO DESIGN」だ。これは4つの次元で、ナノレベルの解析・設計を行う材料開発技術。

 材料開発本部材料第三部の岸本浩通主査は「この技術により、高性能タイヤに求められる材料を科学的・合理的に高精度に設計することが可能になった」と話す。また大型放射光施設「SPring8」やスーパーコンピューター施設「地球シミュレーター」と連携することで、例えばシリカの分散を3次元化するなど、従来は不可能であったことを可能にすることができるようになったのが特徴だ。

 さらに同社ではこの技術を進化させるために世界最高レベルの計算能力を有するスーパーコンピューター「京」の活用を始めた。

 岸本氏は「今後は全ての領域をシミュレーションし、ゴムの性能を予測することが必要。不均一性や構造の偏りを忠実にシミュレーションし、タイヤゴム性能を予測した素材設計を行っていく」と述べた。

「転がり抵抗50%低減タイヤ」「軽量化タイヤ」などを発表

100%石油外天然資源タイヤ
100%石油外天然資源タイヤ

 岡山テストコースでは、現在開発中の「軽量化タイヤ」「AAA-aタイヤ」「50%転がり抵抗低減タイヤ」の試作モデルの試乗が行われた。性能評価には長年、カーメーカーで新車開発を行ってきた早津美春さんをドライバーに迎えた。

 軽量化タイヤは、その名の通り、タイヤ重量を抑えた製品。今回の試作品では「ENASAVE EC202」比22%(195/65R15サイズで1本あたり約1.5kg)の軽量化を図った。

 走り出してすぐに感じるのはその軽快さ。ハンドリングが非常に軽く、しなやかだ。周回路で高速走行をした際の操安性、コーナーを曲がる際の剛性感も通常タイヤとそん色ないレベルに仕上がっている。「このまま市販しても問題ないほどの出来」というのが早津さんの印象。今後、他製品へこの軽量化技術を応用していくなど可能性が広がる。


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