タイヤ整備の「働き方改革」に向けて 東洋精器工業の提案

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カテゴリー: レポート, 整備機器

軽労化と作業性向上を実現

 深刻な労働力不足を背景として、「働き方改革」への取り組みが注視されている。生産年齢人口が減少の一途を辿る状況において、労働生産性の向上が労働力不足解消の鍵を握る。労働環境の改善がその第一歩となるに違いない。東洋精器工業㈱が提案する、タイヤ整備の現場ですぐに始められる「働き方改革」を紹介する。

小出哲裕課長(左)と本多茂隆副部長

 自動車業界で現在、非常に深刻化している問題が自動車整備士の不足。「少子化の進展」「クルマ離れの加速」――その理由について、このような社会的要因が指摘される。また整備士の仕事が「汚い・キツイ・危険」のいわゆる「3K」労働であるとして、「離職者の増加」や「整備士の高齢化」「自動車整備士を志望する若者が激減している」ことなど業界に根深くある構造的な問題点も挙げられている。

 一方で、クルマのハイブリッド化や電気自動車化、自動運転技術の進展、人工知能(AI)の導入などで自動車の整備技術は高度化がますます進む。このようなクルマの整備に際して、スキャンツールなどのテスターで故障を診断することは可能だ。

 だがその先、すなわち整備や修理は人の手に委ねられる。つまりクルマの先進技術が進化することで、自動車整備士にはこれまで以上に広範囲な知識と高度な技術スキルが求められつつ、しかもこなさなければならない業務が増加の一途を辿っているのだ。これらのことはそのままタイヤ整備の現場にも置き換えられる。タイヤ業界でも人材不足は顕著で大きな問題となっている。

 では、直面する問題に対しどのような対応を図るべきか。人の手に頼ることが多い現場では機械化や自動化の進展がキーポイントとなる。東洋精器工業(兵庫県宝塚市、阿瀬正浩社長)は機器の高機能化による“働き方改革”を提案。省力化、作業の効率化を目指した新製品を開発し積極的に市場に投入している。

バランサーへのセッティングにタイヤリフトの使用を

 今回、同社が上市したPCバランサー用タイヤリフト「BL-02B」もそうだ。販売企画部副部長の本多茂隆さんと同部課長製品・技術部門リーダーの小出哲裕さんが、新製品の解説と実演デモを行ってくれた。

側面に配置されたシリンダー(左)と本体トップ部
側面に配置されたシリンダー(左)と本体トップ部

 乗用車用タイヤの交換に際して、作業者に大きな負担がかかる作業は何だろうか。ただちに思い浮かぶのは、タイヤ・ホイールをタイヤチェンジャーにセットする時だろう。もう1つ、忘れてはならないのが脱着作業をしたホイールの付いたタイヤをホイールバランサーにセットする時だ。

 タイヤチェンジャーにセットする場合、持ち上げたタイヤを水平の状態にしてテーブル板に置くため、作業者は両腕を使ってその作業を行う。一方、ホイールバランサーにセットする場合、バランサーのシャフト部分にホイール中央部分を差し込みロックハンドルやコーンなどで固定する。ホイールバランサーの形状上、固定を完了するまで、片腕でホイール付きのタイヤを抱えなければならない。そしてこの時にシャフトのセンター部とホイールのセンター部の位置を合わせる、センタリング(芯出し)を正しく行う必要がある。

リフト部から照射される十字レーザーライン
リフト部から照射される十字レーザーライン

 センタリングがズレていると、正確なアンバランス補正を行うことができない。だがこのセンタリングの位置決め作業、すなわちロックハンドルやコーンなどで固定する作業は、重量物であるタイヤ・ホイールを片腕だけで抱え持って行うには肉体的負担が大きく手間もかかるということが意外に見落とされがち。それをサポートしてくれる機器がタイヤリフトなのである。

 小出さんによると、新製品「BL-02B」は、リフトにレーザーラインによるセンタリング機能を付加し、センタリング位置の可視化を実現した点が大きな特徴だという。ホイールとシャフトの真正面方向に向けて、リフト本体から赤色の十字レーザーが照射される。この十字レーザー光の中心はリフトの上昇・下降動作に関係なく常にバランサー主軸先端の中心部へ照射されている。そのためタイヤ・ホイールをプレートに載せ上昇させていき、十字レーザー光の中心をハブ穴中心部に位置したところに合わせるだけで、バランサーの主軸高さとタイヤ・ホイール高さのセンタリングができている状態となる。

 そのままバランサー側へプレートをスライドさせるだけで主軸とハブ穴が干渉することなく固定作業に移行できる。手や腕で支えておく必要が無いため「タイヤ・ホイールの重さを負担に感じないまま」(小出さん)ホイールバランサーへのセットが完了する。

ホイールとシャフトのセンター部の位置合わせを可視化した。作業効率と精度向上を実現
ホイールとシャフトのセンター部の位置合わせを可視化した。作業効率と精度向上を実現

 十字レーザーを照射する筐体はマグネットタイプなので、タイヤ径に応じてリフト本体の任意の位置に取り付けや移動が可能。スライドプレートはタイヤ保持バーとの一体型で、保持バーにはキズ防止のためのプロテクターを標準で装備している。

 「BL-02B」のもう1つの特徴は「低床化にとことんこだわったこと」だと、本多さんは言う。それを可能にしたのがシリンダー位置。リフトのシリンダーは一般的に本体の最下部に横置きに配置されている。しかし、新製品では本体側面に縦置きの状態で配置した。それによりこれまでにない低床化を実現した。さらにその配置によりシリンダーのメンテナンスが一層容易になった。

 リフト本体のトップ部分やユニット全面スペースを備品類やバッファー液スプレー、クリーナー等を置くことができる収納スペースとしたのも工夫点。「常に使用するコーンやロックハンドル、ウエイトハンマーなどは右手側にあるリフター上に置き、左手側にあるバランサー上部収納スペースにバランスウェイトを置く。このように収納スペースを使い分けることで、効率良く作業することができます」と、本多さんは説明する。

 仕様、その他詳細は同社ホームページのカタログデータで確認することができる。汎用性を高めた構造としていることから、同社製ホイールバランサーはもちろん、主軸高さの異なる他社製の機種でもほとんどで使用が可能だという。なお最大タイヤ重量は75kg。

 ホイールバランサーへのセッティングにタイヤリフトを使って行う事業所はまだ少ないようだ。「軽労化・作業性・価格メリットのトライアングル訴求体系で販売展開していく」(本多さん)とし、タイヤリフトの一層の普及促進を図っていく考え。新製品「BL-02B」は7月から本格販売を開始する。


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