タイヤ性能向上へ、ゴムの材料開発技術が進化

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カテゴリー: ニュース

 国内メーカーがゴム材料の開発技術を高度化する動きが加速している。住友ゴム工業は低燃費とグリップの両立に加え、ライフ性能を高めた「エナセーブ NEXTⅡ(ネクストツー)」を11月に発売した。東洋ゴム工業は2011年に確立した材料開発技術「Nano Balance Technology」(ナノバランステクノロジー)を進化させた。従来より精度の高い分析技術によって開発したゴムを、来年春に欧州で発売する「PROXES Sport」(プロクセス・スポーツ)に初めて適用する。世界的に強化が進められているタイヤの環境規制に対応するとともに、新興国メーカーが低価格を武器にグローバルでシェアを拡大する中、付加価値の高いタイヤで差別化を図る。

住友ゴムの村岡執行役員(左)と石田部長
住友ゴムの村岡執行役員(左)と石田部長

 住友ゴムの「エナセーブ ネクストⅡ」は、2015年に実用化した材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」(アドバンスド4Dナノデザイン)を活用することで、これまでにない耐摩耗性を実現しているのが特徴。

 12月2日に都内で開いた説明会で石田博一材料企画部長は、「従来はライフの向上が課題だったが、ポリマーとシリカの結合剤に着目し、その長さを最適化するという新たな発想でシリカ界面のストレス(ゴム破壊)をコントロールすることができた」と研究の成果を述べた。今後さらに開発を進め、シリカのネットワーク運動や架橋構造といった領域においてもストレス低減を図っていく。

 さらに同社は天然資源を高機能化して付加価値をつけたバイオマス材料の開発も積極化している。その第1弾として開発した「しなやか成分」を、8月に発売したスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」(ウインター・マックス02)に採用。ゴムの柔らかさを維持し、氷上性能とロングライフの両立を実現した。

 村岡清繁執行役員は「今後、さまざまな高機能バイオマス材料を生み出し、2020年に次の世代へ繋げていく」と意欲を示している。

東洋ゴムの金井昌之執行役員
東洋ゴムの金井執行役員

 一方、東洋ゴムは、ゴム材料を分子レベルで分析・解析・設計・加工する「ナノバランステクノロジー」において、特に分析技術と解析技術を大きく進化させた。11月17日に大阪市内で開いた会見で、同社の金井昌之執行役員は「技術の進化によりゴム開発の期間短縮やコスト低減ができる」と話した。

 技術の完成から5年を経て、現在はゴム内部の精密なシミュレーションモデルの構築やその定量評価が可能となり、また3次元での補強材構造やX線を用いてゴム内部を観察する技術を確立した。さらにタイヤが回転している状態で補強材構造の情報が取得できるようになった。それぞれのタイヤに求められる性能を導き出すための開発期間を大幅に短縮でき、市場ごとのニーズに適したスピーディーな商品展開が期待される。

 なお、「ナノバランステクノロジー」は、現在策定中の次期中期経営計画において「事業価値向上に繋がる基幹技術」(金井執行役員)と位置づけられており、タイヤのカテゴリーを問わず、今後発売する全ての商品開発に活用していく方針。


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