ブリヂストン サステナブルビジネス構想実現へ

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カテゴリー: ニュース

 ブリヂストンはバリューチェーン全体でカーボンニュートラル化やサーキュラーエコノミーを目指す取り組みとビジネスモデルを連動した「サステナビリティビジネス構想」の実現に向け、環境負荷低減への活動を加速している。2021年は工場からのCO2排出量削減や、水が不足する地域での取水量の削減、パラゴムノキに代わる新しい原材料の開発など着実な成果を上げてきた。

 ブリヂストンは6月29日、中長期的な企業価値向上に向けた考え方や取り組みを報告する「統合報告2022」を発行し、昨年の環境負荷低減の取り組みを紹介した。

 同社が2020年に策定した「マイルストン2030」では2030年までに同社グループが排出するCO2の排出量(Scope1、2)を2011年比で50%削減することを目標の一つに掲げている。2021年はScope1および2の排出量が2011年比で25.0%減となった。

 また、ブリヂストングループではCO2排出量削減の取り組みの中で再生可能エネルギーの導入を強化している。2023年までに再生可能エネルギー比率を50%以上に拡大することを目指し、2021年は16.3%を達成した。

チョンブリ工場のソーラーパネル
チョンブリ工場のソーラーパネル

 具体的な取り組みとして、昨年はタイのチョンブリ工場で合計2160枚のソーラーパネルを設置し、1MWpの太陽光発電による電力供給をスタートした。

 同工場では2024年までに4MWpの太陽光発電設備を追加する計画で、2023年には2011年比でCO2年間排出量を50%削減し、再生可能エネルギー比率が約45%になる見込み。

 あわせて、非生産拠点でも再生可能エネルギーの導入を進め、タイの研究センターでもすべての電力を切り替えた。燃料の再エネ化も推進し、2021年はインドのプネ工場でバイオマスボイラーを設置している。この取り組みにより、CO2排出量は年間で1万9396トン削減される。

 生産拠点におけるエネルギー効率の継続的な改善にも注力しており、グループ全体で1年あたりエネルギー効率0.5%の改善という基準に沿うエネルギー消費量の削減を進めてきた。さらに、社内カーボンプライシングの活用を強化し、省エネルギー設備への投資や太陽光発電設備の導入といった投資判断基準にCO2排出量の影響を組み込んでいる。

 なお、2022年にはスペインのブルゴス工場で9.2MWの大型の太陽光発電システムが稼働する予定。

 サーキュラーエコノミーの推進では、2030年までに再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率を40%に向上する目標を掲げている。商品のライフサイクル全体において長寿命設計や再生可能資源の活用、リトレッドをはじめとした多様な取り組みを加速させており、2021年の再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率は前年並みの37%となった。内訳をみると、再生可能資源が26%、再生資源が11%だった。

 また、事業に必要不可欠な水資源に関して、淡水資源の量や質の低下のリスクがある水ストレス地域に立地する生産拠点を中心に2030年までに各地域環境に応じた具体的なウォータースチュワードシッププランを策定し実行する。このプランは2020年に策定した公平な水の利用に向けた「ウォータースチュワードシップポリシー」に基づくもの。

 2022年6月時点では、対象となる25拠点のうち7拠点でプランの策定が完了している。アルゼンチンのブエノスアイレス工場で水利用の効率化に取り組み、2021年に生産量当たりの取水量を2005年比で55%削減した。さらに、雨水の利活用も推進しており、豪グループ企業のリトレッド用部材工場では2021年現在、500万リットル以上の雨水を貯留し現地の生産工程で使用している。

 ブリヂストンでは、将来に向けて持続的に成長するために事業ポートフォリオに探索事業を加えた。このうちグアユール事業では、米国を中心としたパートナーとの共創で乾燥した地域で栽培可能な植物「グアユール」由来の天然ゴムを2026年までに実用化し、2030年に本格的な生産・事業化を目指す。

米国のグアユール農場
米国のグアユール農場

 天然ゴムはタイヤの主な原材料の一つであり、パラゴムノキから生産される。ただ、パラゴムノキは生産地が集中しており、病気や気候変動の影響を受けやすいことや栽培に人手がかかるといった課題を抱えている。

 グアユールは米国南西部からメキシコ北部に広がるチワワ砂漠に自生するキク科の低木で、干ばつ耐性が高く、寒さに耐えるために樹皮層にゴム成分を蓄積する。同社では「パラゴムノキと異なり、砂漠のような乾燥地帯で栽培できる」とした上で「グアユールは異なる植物種や気候帯へと天然ゴムの供給源を多様化させるソリューションとして大きな可能性を秘めている」と説明している。

 さらに、グアユールの栽培は食用作物と競合せず、収穫の機械化が容易で、CO2を吸収する緑地の拡大にも寄与するなどの優位性があるという。

 ブリヂストンは2012年に同作物の研究を開始し、グアユール由来の天然ゴムを活用したタイヤの開発やオープンイノベーションを活用した増殖技術研究といった活動を通じて知見を蓄積してきた。現在は米アリゾナ州で281エーカーの農場で栽培している。

 新たな取り組みとしては、米アリゾナ州中部で水不足の深刻化により不作だった農地をグアユール収穫用に転換する活動を地元農家との間で拡大しており、2022年は200エーカーの植栽を予定している。

 なお、グアユールから抽出されるレジンや木質材料をはじめとした副産物も接着剤や燃料に利用できる。今後は副産物の最大限の活用を目指し、農業やエネルギー、化粧品などを取り扱う企業や非営利団体、投資家、政府といったパートナーとの新しいエコシステムの構築や市場開拓、リスクの低減も図っていく。

 同社グループでは「天然ゴム供給源の多様化や天然ゴムサプライチェーンにおけるリスク低減、天然ゴムの持続可能な生産に向けた取り組みを推進していく」としている。

 気候変動や資源の枯渇は地球規模で解決が必要な喫緊の課題となっている。グローバル企業として事業活動の環境負荷を低減するブリヂストンの取り組みは、広く社会の中で活動する企業としての責任を果たす努力として示されていると言えるだろう。


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