日本ミシュランタイヤ DXで顧客の課題解決

 日本ミシュランタイヤはトラック・バス用タイヤ事業でDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる。昨年秋にサービスを開始した「MRN GO」は2022年内に1万件の利用者獲得を目指し、またタイヤ点検作業のデジタル化を実現する「タイヤケア」は輸送事業者8社にサービスを提供する。人手不足や労働時間規制など課題が山積する物流業界で、デジタル技術を活用して業務効率化に貢献していく考えだ。

 「MRN GO」は大型トラック向けレスキューサービスのアプリケーションとなり、ミシュランレスキューネットワーク(MRN)をDX化するもの。スマートフォンのアプリを通じ、タイヤの故障画像とタイヤ内温度や空気圧情報をコールセンターに送信することが可能となる。これによって、作業店は現場に到着する前にタイヤの正確な情報を把握できるようになる。

 B2Bタイヤ事業部の田中禎浩常務執行役員は、「タイヤのトラブルによる運行停止時間をいかに少なくできるかが目的」と話す。従来はタイヤに何らかのトラブルが生じても電話などで情報を伝えていたため、時間を要していたという。

 一方、「MRN GO」では正確かつ迅速に情報を提供でき、早期に原状復帰できることがメリットとなる。今後、利用者の拡大に合わせてデータベースを構築し、新たなサービスも検討していく。

 昨年末から提供を始めた「タイヤケア」は、測定機器とアプリを使用してタイヤ点検を行い、レポートの自動作成までを担うシステム。タイヤの交換時期を予測することで顧客のコスト削減にも寄与できる独自のソリューションとなる。

 既に数十台の車両を保有している運送事業者など4社が利用しており、年内に契約事業者は8社に拡大する見通し。田中常務は「従来は人間の手でタイヤの状態を入力していた業務を効率化できることへの評価は高い」と手応えを話す。

 レポートはタイヤ交換時期の予測以外にも様々な視点から作成できるため、新たな分析を加えることでサービスレベルの向上にも寄与しそうだ。

 仏ミシュランは2024年までにグローバルで全ての新品タイヤにRFIDを内蔵する計画で、国内でも順次流通が始まる。数年後には「タイヤケア」をアップデートしてRFIDと連携することも検討する。様々な情報を一元管理する仕組みを構築していくことで、ユーザーやタイヤ販売店の生産性向上、利益向上につなげる。


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