安全な点検整備を タイヤメーカーが整備技術のコンテスト開催

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カテゴリー: ニュース

 タイヤ整備の技術力を高めて顧客と作業スタッフの安全を守る――タイヤメーカーがここ数年、整備作業のレベルアップに向けた取り組みを強化している。全体の技術が向上し、標準化が進められるなど着実な成果が表れてきているほか、メンテナンス作業もひとつの“商品”として認知が進み、その価値が高まりつつある。

技能グランプリ
ブリヂストンが9月4日に開催した「技能グランプリ」

 9月4日にブリヂストンのグループ会社、ブリヂストンタイヤジャパンが主催する「技能グランプリ」が静岡県で開かれ、11日には住友ゴム工業が宮城県で「全国TB作業コンテスト」を開催した。どちらも活動開始から7年目を迎えたトラック・バス用タイヤの整備技術や知識を競う大会で、全国の地区予選を勝ち抜いた精鋭が勢揃いした。

 住友ゴム工業のコンテストで審査員長を務めたタイヤ国内リプレイス営業本部の志賀美也リテール部長は、開会式で「このコンテストの目的は安全に尽きる」と力強く話した。

 タイヤ整備の現場では以前から各店舗や販売会社レベルで安全への啓蒙活動に取り組んできた。ただ、車輪脱落事故や整備作業中の事故が依然として減らない状況に対し、「お客さまの安全運行をいかに確保し、販売店のスタッフの安全も確保するか。正しく安全に作業をすることが重要な課題となっている」(ブリヂストンタイヤジャパンの中道譲専務)。

全国TB作業コンテスト
住友ゴムが9月11日に実施した「全国TB作業コンテスト」

 国土交通省のまとめによると、ホイール・ボルト折損による大型車の車輪脱落事故は2004年度に87件発生。一時は減少傾向にあったが、2012年度から2014年度までは3年連続して増加し、人身事故も起きている。

 その要因のひとつには大型車のホイール形式がある。形式にはJIS方式、従来・ISO方式、そして7年前に導入された新・ISO方式の3種類があり、それぞれ互換性がなく締め付け方法が異なる。各方式に合った作業を行う必要があるが、その確認を怠れば事故に繋がる可能性もある。現時点で新・ISO方式を採用した車両は2割程度と見られており、当面の間は3種類のホイール方式が市場で混在するものと思われる。

 またタイヤ空気充てん作業に関連する事故は2015年の1年間で33件発生したことが日本自動車タイヤ協会の調べで分かっている。そのうちの1件は作業者が死亡。骨折など重傷を負う事故も8件あった。安全囲いの使用など適切な対応が図られていないケースも少なくない。

 こうした中、これまで各社は「安全作業の徹底と標準化」(ブリヂストン)、「標準作業の確立」(住友ゴム)に注力しており、地道な活動の積み重ねの結果、確実に意識が浸透してきた。

 一方でこの数年、安全作業の推進とともに取り組みを強化しているのは、整備作業の高付加価値化だ。メンテナンス作業も“商品”と捉え、積極的に訴求することで、その価値が輸送事業者の間に少しずつ認知されてきたという。

 ブリヂストンではメンテナンス作業の“品質”向上により、リトレッドタイヤと新品タイヤ、メンテナンスサービスを組み合わせたソリューションビジネスの拡大に繋がるケースも出てきた。住友ゴムは「きっちりした作業を行うプロとして認めて頂き、タイヤの拡販にも繋がっている」としている。

 さらに整備作業そのものが注目されることで、作業者のモチベーション向上や作業工賃の適正化に繋がっていくことも期待される。両社はこうした全国規模のコンテストを今後も継続していく意向で、作業レベルを一段引き上げるとともに、その価値を高める活動にも力を注ぐ考えだ。

 すでに一般の販売店からの上位入賞者が複数誕生しているブリヂストンだけでなく、住友ゴムも来年以降、対象を直営店以外に拡大する。安全で質の高い作業を通じて、いかに輸送業界に貢献していくか――その重要性はますます高まっていく。

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