横浜ゴム、生産財タイヤ事業強化「上位メーカーと戦っていける」

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カテゴリー: ニュース

 横浜ゴムは3月25日、農業機械用や産業車両用タイヤなどOHT(オフハイウェイタイヤ)を手掛けるスウェーデンのトレルボルグ・ホイール・システムズ(TWS)の全株式を取得すると発表した。今回の買収は、横浜ゴムが生産財タイヤ事業の“成長ドライバー”と位置付けているOHT事業の拡大を図るもの。会見した山石昌孝社長は「OHTのポートフォリオが完成し、上位メーカーと戦える。収益を伴った成長を目指す」と意気込みを示した。

 横浜ゴムはTWSの全株式を20億4000万ユーロ(約2652億円)で取得する。同社は2016年にも同じくOHTの生産、販売を行うオランダのATG(アライアンスタイヤ・グループ)を約1356億円で買収しているが、今回の買収は同社にとって過去最高額となる。買収完了は今年下期を予定しており、連結業績への影響は現在精査中としている。

TWS買収を発表する山石社長
TWS買収を発表する山石社長

 今回の買収は2021年度から2023年度までの中期経営計画「YX2023」で、生産財事業の“さらなる成長ドライバー”と位置付けているOHT事業の拡大のために実施するもの。OHTはグローバルで年率2~4%の成長が見込まれており、特に農業機械用タイヤは世界的な人口増加による食料需要増や農業効率向上に向けて今後も拡大が期待されるカテゴリーだ。

 また同社によると、世界のタイヤ市場の規模は消費財と生産財が1対1となっているが、横浜ゴムの売上構成比は消費財が2、生産財が1と偏った構成になっていた。今回の買収により、構成比は市場規模と同等の1対1になる見通し。

 山石社長は「タイヤ事業の売上構成比を市場に合わせて事業の安定性と収益拡大を図るため、生産財タイヤの中でも安定的に高い収益を確保できるOHT事業の成長が重要な課題だった」と話し、「今回の買収によりタイヤ事業の構成適正化だけでなく、生産財事業のテーマである商品ラインアップやコスト、サービス、DXを強化できる」と期待を述べた。

 TWSの2021年度の売上高は約1290億円。過去10年間で売上高は2.6倍に増え、EBIT(利払い・税引き前利益)は3倍以上となった。EBIT率は10%以上を継続しており、安定した高い収益性を維持している。

 生産品種は農機用が6割、産業車両用が2割、残りが建設車両用と二輪車用となっており、農機用と産業車両用では世界トップクラスのブランド力や技術力、サービス力を誇るという。生産拠点は欧州を中心に米州、アジアなど9カ国に14拠点を有しており、売上の7割を欧州が占める。

 横浜ゴムが2016年に買収したATGは、OHTの中でも比較的スタンダードカテゴリーの製品が多いのに対し、TWSはプレミアムゾーンに位置付けられる製品も少なくない。さらに、新車向けでは約30社が横浜ゴムの新たな納入先に加わり、TWSは500馬力クラスの大型の農機、ATGは40馬力以下の小型モデルが主流でターゲットは異なるという。

 今回、横浜ゴムグループにTWSが加わることにより、ベーシックからスタンダード、プレミアムまでOHTのラインアップが完成するほか、欧州での販売拡大も期待できることからこのカテゴリーの世界シェアは3位になる見通しだ。山石社長は「ブランドのポートフォリオが完成し、上位メーカーと戦っていける」と意欲を示した。

 なお、米専門誌タイヤビジネスによると、2020年のタイヤ売上高ランキングで横浜ゴムは43億4900万ドルの世界8位だった。33位だったTWSの売上高(7億6500万ドル)と単純合算すると、7位の伊ピレリ(48億8880万ドル)を上回る規模になる。


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