国内各社、設備投資を加速 高インチタイヤの生産強化

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カテゴリー: ニュース

 国内タイヤメーカー4社は、2月に行った2021年決算発表の会見で、2022年に設備投資を加速する姿勢を鮮明にした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で投資計画の変更を余儀なくされた過去2年と比べて各社は投資額を大幅に増やす。需要が堅調なSUV向けの大口径タイヤの増産などを中心に、グローバル供給体制の構築や改善も推進していく考えだ。

 ブリヂストンの設備投資額は22年に前年比16%増の3050億円を計画。乗用車用高インチタイヤの拡販や、環境性能と運動性能の両立に寄与するタイヤ基盤技術「エンライトン」の適用拡大に力を入れる同社は、これまでに彦根などの国内4工場やブラジルで乗用車用プレミアムタイヤの生産能力増強を発表した。

住友ゴムの米国工場
住友ゴムの米国工場

 さらに、下関工場では鉱山・建設車両用の設備刷新、タイ及びブラジル工場のトラック・バス用の生産能力増強も公表している。

 同社は「米州では北米向けを南米から、グローバル全体ではアジア・日本から供給をサポートする」と説明。ソリューション事業やIT基盤の強化も含めた戦略的成長投資は、22年に前年比1.5倍の約1500億円を見込む。

 住友ゴム工業は54%増となる760億円の設備投資を予定し、「設備更新等に加え、増産投資や高機能商品の生産設備への置き換えを行う」(山本悟社長)という。

 同社は地産地消化を進めながら、アジアから世界各地へ供給補完する体制を整えており、将来の販売に向けて米国、ブラジル、タイ、宮崎、トルコ工場で高機能タイヤを中心とした増産や高インチサイズへの設備置き換えを実行する。

TOYO TIREが北米で展開するワイドライトトラック用タイヤ
TOYO TIREが北米で展開するワイドライトトラック用タイヤ

 横浜ゴムは、79%増の695億円の設備投資を行い、ミックス改善投資やOHT(オフハイウェイタイヤ)の増産、乗用車用タイヤの印工場の増産を進める計画だ。中期経営計画では23年に事業利益700億円を目標としており、山石昌孝社長は「今進めている投資が今年後半辺りから立ち上がってくるので、(その能力により)700億円に向けて頑張っていきたい」とコメントした。

 TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は22年計画の設備投資額を58%増の599億円とした。清水隆史社長は「セルビア新工場の建設やデジタル関連の基盤構築など将来を見据えた成長投資を着実に進める」と話す。北米のワイドライトトラック用タイヤ(WLTR)をはじめとする旺盛な需要に対応するため、セルビア工場に米国向けの乗用車用の生産を集約し、米国ではWLTRの生産能力増強を検討。国内やマレーシア工場とあわせ、北米需要を獲得する供給体制の構築を進める。


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