ミシュランの「積層造形技術」創造力高めて新たなデザインを

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人工衛星のソーラーパネル展開用ヒンジ
人工衛星のソーラーパネル展開用ヒンジ

 6月に群馬県内の製造業などと連携して一般社団法人「群馬積層造形プラットフォーム」を設立すると発表した日本ミシュランタイヤ。県内にある研究開発拠点「太田サイト」の設備を活用してもらい、新たなイノベーション創出を図ることが目的だ。その実現に向けて柱となるのが、仏ミシュランが培ってきた「積層造形技術」となる。

 この技術は、立体物を輪切りにした断面データをもとに、樹脂や粉体などの薄い層を積み重ねて立体物を製作するもの。ミシュランは2000年代初頭に、タイヤの金型製造に樹脂積層造形技術を適用。現在は金属を用いた積層造形でタイヤ金型を量産化している。

日本ミシュランタイヤ研究開発本部新規事業部長の伊藤祥子氏
日本ミシュランタイヤ研究開発本部新規事業部長の伊藤祥子氏

 積層造形は、一般的には「3Dプリンティング」などと呼ばれ、複雑な形状が自由に成形可能となることから、自動車産業や医療分野などで幅広く活用されている。近年は金属を用いた部品への期待も高まっているという。日本ミシュランタイヤ研究開発本部新規事業部長の伊藤祥子氏は、「積層造形は“積み重ね”という意味から“足し算”の考え方になる」と説明する。反対に、切削技術などは物体を削り取っていく“引き算”の製法を指す。

 こうした製法の違いは最終製品のデザインそのものにも大きく影響する。例えば強度設計上は1mmの厚みで十分の部材があったとする。切削技術では工程を加味するとどうしても1.5mmなどと厚くなってしまうケースもあるが、積層造形は“足し算”なので「1mmが最適なら1mm足す」という手法になる。言い換えれば、無駄がなく最適なデザイン設計が可能になる。

デザインを最適化し体積を削減した航空機用部品(右が最適化したモデル)
デザインを最適化し体積を削減した航空機用部品(右が最適化したモデル)

 一方で積層造形はその自由度の高さから人間の想像力もより重要となる。伊藤部長は、「何のためにこの部品を作っていて、どんな性能を向上させたいのかといった機能分析を行った上で、創造力を高めることが新たなアプローチにつながる」と話し、「イノベーションを生み出す技術となる」と期待を込める。

 来年春から本格的に活動をスタートする群馬積層造形プラットフォームでは、ミシュランが開放する太田サイトの金属3Dプリンターを広く活用する予定。今後多くの企業に参画してもらい、様々な研究開発が進められていく。

 ミシュランとしても2030年までの事業戦略で、タイヤ以外の領域で売上高を拡大させる方針を打ち出す中、異業種との連携も視野に入れながら将来のイノベーション創出へつなげていきたい考えだ。


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