TOYO TIRE清水社長が会見「2021年、新たなステージへシフトを」

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カテゴリー: ニュース

 TOYO TIRE(トーヨータイヤ)の清水隆史社長は12月3日に会見を行い、2020年の取り組みを振り返るとともに、2021年を「新しいステージへシフトするため、力強く歩みを進めていく」と展望を語った。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響があったものの、国内外での工場増産は計画通りに遂行。社内に向けては外部環境の変化をチャンスに変えていけるよう意識の改革にも取り組んだ。清水社長は「2020年はコロナ禍でも新たな道づくりができた」と述べ、来年に公表する新たな中期経営計画では「大型SUV用タイヤなど差別化された戦略製品を軸にして、機動力を武器に強みを活かした存在感を形成する」と意欲を示した。

会見する清水社長
会見する清水社長

 「2020年は次の成長に向けた経営戦略を整えていくために取り組んできた。新型コロナという想定外の事態があっても新たな道づくりができた」――。会見で清水社長はこう強調した。

 新型コロナウイルスは世界的なパンデミックとなり、経済活動や社会活動に大きな影響をもたらした。国内では緊急事態宣言が発令され、急激な需要減少を受けて各社の工場は一時生産停止を余儀なくされた。トーヨータイヤでも在宅勤務への移行を進め、課題を解決しながらリモートで仕事が行える環境を整備したという。

 清水社長は「これが正しいという正解が用意されていないケースも多い。そういう時は躊躇せずに実行し、その中で課題を解決していくことが大事だと学ぶことができた」と振り返る。

 また、従業員に対しては、「世の中の常識や価値観は一変する。新型コロナの影響は計り知れないが、滅多にない経験を自分たちのものにして、外部環境の変化を見極めていかにしてチャンスを拾うかと叱咤激励をした」と述べた。

 その後、5月から6月にかけて北米で需要が回復傾向を示し、第3四半期(7~9月)には前年を上回る利益を達成した。「コロナの影響を最小化し、高い水準で事業をマネージメントできていると示すことができた」とした上で、「非常時でも役員と従業員が続けてきた真摯な挑戦が会社を健全に筋肉質へ変えつつある」と、この間の取り組みを評価した。

「強いカテゴリーで存在感を形成」

 トーヨータイヤは2021年に新しい5カ年の中期経営計画を公表する予定で、清水社長は「今後の当社のあるべき姿を示している」と、その方向性を話す。
 来年には米国工場で“総仕上げ”とも言うべき増産がスタートするほか、22年にはセルビア新工場の稼働も控えており、供給体制が強化される。一方で、単に販売数量を追い求めるのではなく、ライバルと差別化できる領域で圧倒的な存在感を確立していくことが軸になるという。

 「既成概念を超えた柔軟な連携によって価値を創出する」――SUV用タイヤ市場における成功例をはじめ、コロナ禍でも他社を上回る高い営業利益率を達成してきたトーヨータイヤがどのような成長戦略を打ち出すのか、注目が集まる。

2021年日米は回復見込む

 清水社長は来年のタイヤ需要について「地域によって異なる」と前置きした上で2019年レベルまで回復するとの見通しを示した。SUV・ピックアップトラック用タイヤが好調な北米は引き続き堅調な販売を見込んでおり、日本市場についても「余談は許さないが、19年くらいまで戻るのではないか」と述べた。

 感染リスクを避けるために、自動車の利用が増えているほか、アウトドアへのニーズも高まっているという。「販売量が落ちても重点商品を販売し、利益を確保していきたい」と意欲を示した。

 一方で欧州やアジアは新型コロナの影響により「慎重に見ていく必要がある」と指摘している。


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