住友ゴム、最先端の材料技術を「エナセーブNEXTⅢ」に採用

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カテゴリー: ニュース

 住友ゴム工業は11月20日、都内でダンロップブランドの新商品「エナセーブNEXTⅢ」の技術説明会を開催した。新商品は最新のゴム技術により摩耗や経年によるウェット性能の低下を抑えたほか、バイオマス素材の「セルロースナノファイバー」を世界で初めてタイヤに活用。性能持続技術とLCA(ライフサイクルアセスメント)という、同社の技術開発コンセプト「スマート・タイヤ・コンセプト」の要素を採用した。今後、さらに研究開発を進め、次世代に求められる性能を有した商品開発を積極化させていく。

「エナセーブ NEXTⅢ」
「エナセーブ NEXTⅢ」

 12月1日に発売する「エナセーブNEXTⅢ」は、同社が2017年に発表した技術開発コンセプト「スマート・タイヤ・コンセプト」のテクノロジーを採用した第1弾商品となる。同コンセプトの要素である“性能持続技術”と“LCA”の技術をそれぞれ採用。2万km走行時のウェットブレーキ性能の低下を従来品(エナセーブNEXTⅡ)から半減したほか、バイオマス素材の「セルロースナノファイバー」を世界で初めてタイヤに活用した。

 性能の持続には、JSRが開発した「水素添加ポリマー」が貢献している。タイヤを使用するうちに性能が低下する要因には、物理的側面のき裂摩耗や化学的側面の経年変化などがある。新ポリマーは分子の慣性半径が従来のポリマーより大きく、分子同士が絡み合う体積が増えた。加えて、架橋剤である硫黄などを均一に散らばらせることでゴムにかかる力を分散でき、き裂摩耗に強い構造となっている。

 また、「水素添加ポリマー」ではポリマーの骨格を形成する炭素の結合から結合エネルギーが弱い部分を減少させ、ゴムを硬くする架橋の増加やポリマー分子の劣化といった経年変化の課題を解消した。

水素添加ポリマーのイメージ
水素添加ポリマーのイメージ

 さらに、強い結合力と切れても戻る結合を実現し、分子の切れやすさや酸化しやすさを抑制。このため、物理的変化と化学的変化が同時に起こるメカノケミカル変化にも対応が可能になった。

 今回の開発には住友ゴムの新材料開発技術「アドバンスド4Dナノ・デザイン」と、今年10月に発表した「タイヤ・リープAIアナリシス」が活用された。「タイヤ・リープAIアナリシス」には、大量の新品タイヤのシリカ分散画像がインプットされている。使用後のタイヤ画像を入力すると、表面の変化だけでなく、グリップ性能の悪化につながる内部の構造変化も検出。これを材料開発の解析技術と連携させることで、摩耗や経年による性能低下のメカニズムを分子レベルで解明した。

 その結果、従来のポリマーと比較して、き裂摩耗は27%抑制、経年変化は50%抑制、メカノケミカル変化は62%もの抑制を達成。これらが組み合わさってウェット性能の低下を半減させることができた。

LCAを盛り込んだタイヤも

住友ゴム技術説明会
材料開発本部材料企画部長の上坂憲市氏と村岡執行役員(右)

 一方、商品のライフサイクル全体で環境への負荷を評価し、その低減を目指すための手法であるLCAの観点から、「エナセーブNEXTⅢ」はバイオマス素材の高強度繊維「セルロースナノファイバー」を採用した。

 これは、木材繊維をナノレベルまで加工したもので、実用化には日本製紙や三菱ケミカルの技術に加え、住友ゴムのゴム圧延技術を結集。タイヤサイドの内部に配置する「セルロースナノファイバー」は繊維を一定方向に揃えたことで、周方向と径方向に剛性差をつけることができ、環境性能と乗り心地や操縦安定性の両立を実現した。

 住友ゴムは、2020年代に「スマート・タイヤ・コンセプト」の全ての技術を投入したタイヤを完成させる計画。村岡清繁執行役員は、「材料にはLCAと性能持続、アクティブの役割がある」とし、「新商品で2~3割を実現できた」と話す。その上で、今後は「タイヤ・リープAIアナリシス」を進化させ、工数の削減や新材料創出につながる「高精度バーチャル性能予測」を目指す。

 性能持続技術は、“変化の修復”や“変化で向上”といったコンセプトも掲げ、実現に向けた評価段階にある。さらにLCAでは来年、“製造”と“リサイクル”を考慮したコンセプトタイヤを発表する計画を明らかにした。自動車産業の変革期に、環境への取り組みが一層求められる中、競合メーカーとの差別化にもつながっていきそうだ。


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