国内タイヤメーカー4社の上期業績 販売減や原料高響く

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カテゴリー: ニュース

ブリヂストン 中国やアジアで数量減少

江藤COO兼社長
ブリヂストンの江藤COO兼社長

 ブリヂストンは営業利益が21%減の1584億円となった。原材料価格の上昇や販売数量の減少、アルゼンチンやブラジルなど新興国の通貨安が響いたほか、多角化事業で販売数量減にともなう加工費の悪化もマイナス要因となった。

 タイヤ部門の売上高は1%減の1兆4560億円、営業利益は17%減の1585億円だった。建設・鉱山機械用タイヤや高インチの乗用車用タイヤの販売は好調だったものの、消費財タイヤのグローバルでの販売数量は3%減と前年を下回った。新車向けが北米で苦戦したほか、市販用では中国・アジア大洋州市場で11%のマイナスとなった。トラック・バス用タイヤの販売数量は全体で1%減少した。新車用は北米が好調だった一方、市販用は北米や中国・アジア大洋州で落ち込んだ。

 8月9日に開いた会見で江藤彰洋COO兼社長は、「事業環境は想定からそれほど外れていないが、一部の地域で販売数量が弱くカバーしきれなかった」と話した。

 一方で、「堅調なのはソリューションビジネスで、新しい事業モデルも徐々に進んできている。(今年買収した)蘭トムトムテレマティクスに関してもアクティブな活動が始まっている」と述べ、今後両社の知見を融合させることで、新たなビジネスモデルの確立につなげていくことへの期待感を示した。

 また8月から実施している国内市販用タイヤの値上げについては、「物流費が時系列的に上昇している。どういった提案をすれば業界全体でより健全な物流ができるのかを考え、物流ルートの効率化など様々な対策を行ってきたが、その上でお願いをした」と説明した。

住友ゴム 固定費など響き大幅減益

山本社長
住友ゴムの山本社長

 住友ゴム工業の上半期業績(国際会計基準)は、売上収益が前年同期から39億円増加したものの、事業利益は104億円減少した。

 減益要因の内訳は、石油系を中心とした原材料価格の高騰で5億円減、価格で16億円減、新興国の賃金増加に伴う直接原価で3億円減。また北米や南アフリカ、トルコ工場の生産能力拡大を含む固定費の増加で17億円減、為替で34億円減、経費で9億円減となった。そのほかスポーツと産業品他で23億円のマイナスが生じた。

 タイヤ事業の売上収益は2%増の3673億円、事業利益は40%減の125億円となった。上半期のタイヤ販売本数は5983万本。

 新車用タイヤは国内外で好調だった。一方、市販用は国内で年初に冬タイヤの販売が落ち込んだことにより前年同期を下回った。海外は欧州などでファルケンブランドの販売が伸長したほか、北米で4WD・SUV用タイヤが好調に推移し、プラス成長となった。

 8月7日に都内で開いた会見で、山本悟社長は「固定費のマイナスが大きかった。新設した工場や買収した工場への先行投資に対して現在は販売でカバーできていないが、工場の体質強化や生産性の向上などを進めていく」と述べた。

横浜ゴム タイヤ事業は減収減益に

山石社長
横浜ゴムの山石社長

 横浜ゴムの上半期第2四半期決算(国際会計基準)は売上収益が0.5%増の3111億円と過去最高となった。ただ、タイヤ事業は売上収益が1.6%減の2101億円、事業利益は販売数量・生産量減少に伴う製造原価の悪化や物流費の悪化などの影響で52.4%減の75億円だった。

 新車用タイヤは国内販売・海外販売ともに低調で売上収益減、市販用タイヤは国内の夏用や北米での販売が堅調で売上収益は前年並みを確保した。ATGは売上収益が7.1%増の373億円、事業利益は20.3%増の52億円だった。

 事業利益は前期に対し65億円減少した。その要因は原料価格3億円、ATG・MB・その他の各事業計で17億円が増益に働いたが、為替差13億円、販売量33億円、製造原価23億円、価格・MIX13億円など85億円が減益要因となりカバーし切れなかった。

 9日の会見で山石昌孝社長は、「昨年の流れの中でもう少し早く手を打っていれば、目標を超えることができた」と述べた。一方、事業拡大に取り組んでいるATG事業などOHTについては「農業機械の需要が大きく伸びた。愛知タイヤ工業の売上収益、営業利益ともにシナジーが表れている」と手応えを示した。

TOYO TIRE 国内好調も海外で販売減

清水社長
TOYO TIREの清水社長

 TOYO TIRE(トーヨータイヤ)の上期業績は、営業利益が26.2%減の1534億円、経常利益は27.1%減の138億円だった。海外市場でタイヤ販売が前年を下回ったほか製造コストの増加や為替円高、販管費の増加が利益を押し下げた。純利益は免震ゴム対策費用が前年上期の108億円から今期は23億円へと大幅に減少したこともあり、増益を確保した。

 タイヤ事業の売上高は2.8%減の1556億円、営業減益は28.9%減の161億円だった。海外市販用は全体で6%のマイナスとなった。北米市場で同社が強みを持つライトトラック用タイヤの販売は前年並みだったものの、乗用車用タイヤが前年を下回った。また欧州の市販用タイヤは11%と苦戦し、特にロシアや英国での販売が落ち込んだ。

 一方、国内市販用は9%のプラスとなった。冬タイヤの出荷が前年を下回ったものの、夏タイヤが好調に推移したことにより、販売量、売上高ともに前年を上回った。

 新車用タイヤについては、国内向けで装着車種の販売減少の影響が見られたが、海外市場で新規ビジネス獲得などがあり、全体の数量は前年同期から6%上回った。

 清水隆史社長は上期について、「4月までは順調だったが、5月、6月に新車用が失速してきた。また北米では20インチ以上のタイヤは好調だが、アジアから安価な製品が輸入され値崩れがあった」と話した。


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