TOYO TIRE 新たなタイヤ設計技術を確立 AIの活用も

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カテゴリー: ニュース
TOYO-TIRE説明会
技術開発本部の守屋執行役員(左)と大石克敏先行技術開発部長

 TOYO TIREは7月9日、タイヤ設計基盤技術にコンピューター支援技術やAI(人工知能)を融合した新たなタイヤ開発プロセス「T-MODE」(ティーモード)を開発したと発表した。従来より高精度かつ効率よくタイヤを開発することが期待される。

 同日、都内で行われた説明会で守屋学執行役員(技術開発本部長、商品開発本部長)は「モビリティ社会は変革期を迎えており、タイヤにも進化が求められている。様々なニーズに対して迅速に、高い要求にも応えられる製品開発が可能になる」とその意義を話した。

 同社では、これまでもスーパーコンピューターを用いたシミュレーションにより設計を行ってきたが、8月に従来の4倍の処理能力を誇るコンピューターを導入することに伴い、開発プロセスを大幅に進化させる。

「T-MODE」のイメージ
「T-MODE」のイメージ

 今回の技術はSPDM(シミュレーションプロセス・データ管理システム)の活用が特徴の一つ。従来はシミュレーションで得られた情報は、設計者個人のデータとして取り扱っていたが、新たな「T-MODE」では、各種データを一元管理し、設計者同士が共有できるようにした。これらの設計データやシミュレーションデータ、実験データを関連づけることで、学習データとして展開することが可能になるという。

 また、SPDMの構築によって開発過程も大きく変化していくことになりそうだ。これまでは仕様をインプットしてシミュレーションを実行した上で性能を得ていた。その結果が仕様を満たしていなければ、設計を修正し、再度検証を行う必要があった。

 一方、新しい開発プロセスでは要求性能をインプットすれば、AI技術を用いて必要な設計仕様がほぼリアルタイムに導き出される仕組みになっており、業務の大幅な効率化につながる。

 守屋氏は「開発スピードは数カ月単位で短縮できる。今後は『こういう性能が欲しい』というアウトプットからAIでシミュレーションする流れが主流になるだろう」と述べた。その上で「開発の時間が効率化されることで、技術者は考えるための時間を作れるようになる」と話し、将来のタイヤに求められるイノベーション創出への期待感を示した。

 なお、新システムに対応したシミュレーションデータの蓄積は既に始めており、2019年末を目処にAIの運用にも着手する予定。


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