タイヤ各社のトップに聞く「一層の飛躍へ向けた戦略」

(左から)清水社長、津谷CEO兼会長、池田社長、山石社長、ペリニオ社長、金原社長

 米中の貿易戦争や英国のEU離脱、10月に予定されている消費増税など国内外で政治や経済に大きな変化が見られ、また今後はビジネスのあり方や構造が変化していくと見込まれる自動車産業。この大きな変革期の中、課題に対していかに対応していくのか――1月24日にJATMA(日本自動車タイヤ協会)が都内で開いた賀詞交換会で、メーカーの首脳に展望をきいた。

ブリヂストン 津谷正明CEO兼会長
 (ビッグデータの活用について)「あらゆるビジネスの面で応用できる。研究開発や製造、お客様へのサービスを全てつなげるなど、ビッグデータを活用して事業を進めていかなければならない。ユーザーニーズの把握などでも上手くデータを利用し、会社の差別化や競争性などを確保したい。また、技術の進展に従ってこれまで見えなかったデータや出来なかったことが可能になっていくため、タイヤの環境性能など様々な面を向上させることができるようになってきている」

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住友ゴム工業 池田育嗣社長
 (事業環境で懸念する点は)「中国経済の減速感はあるが、まだやりきれていないこともある。中国で現地のディーラーを集めた大会を訪問して今年はプラスにしていこうという話ができた。昨年後半から補修用は持ち直しており、課題は新車用タイヤだ。ただ、今後環境規制が厳しくなってくるが、これに対応できるのが我々の強みだと前向きに考えている」

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横浜ゴム 山石昌孝社長
 (2019年の展望は)「中期経営計画で独自路線を強めた成長戦略を通じて経営基盤を強化し更なる飛躍に備えることを表明しているが、目標年度である2020年に向け、今年はまさにその礎をしっかりと築く年にあたる。キーとなるのは米国事業だ。先行きに不透明な部分はあるが、米国経済は底堅く推移するだろう。そういう点で米ミシシッピ工場が重要になってくる」

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TOYO TIRE 清水隆史社長
 (中期経営計画の進捗と今後の意気込みを)「これまで需要に対してタイヤ生産が不足していたため、昨年は国内で100万本の増産体制を整えた。また、今年4月は米国のジョージア工場で125万本、10月はマレーシア工場で250万本の新たな生産体制を稼働させる。タイヤと自動車用部品に集中する体制を整えた。2020年の目標達成に向け、経営基盤の強化など着実に進展しており、事業間で垣根なく取り組んでいく」

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日本ミシュランタイヤ ポール・ペリニオ社長
 (2019年の展望は)「ゴールデンウィークの期間が10日間あるため、その直前に需要の増加があると思われる。また10月の消費増税前には冬用タイヤも伸びるため、お客様の購入のタイミングが例年より早いのではないか。ミシュラングループのCEOが変わる予定だが、日本においてこれまでのビジネスから変更はない。色々なビジネスラインで新たな展開を考えている」

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日本グッドイヤー 金原雄次郎社長
 (今年の展望を)「国内でオールシーズンタイヤの認知度が高まりつつあり、他社も参入を強めている。当社はこの分野のパイオニアであり、その強みを活かし、豊富なバリエーションでお客様の満足の向上に努めていく。17年に米国本社がタイヤ自動検査システムの独企業を買収した。この技術を活用することでタイヤ残溝の測定・管理が短時間で容易となる。日本市場での展開を視野に入れている」

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ピレリジャパン エンリコ・ダロヤマーケティングマネージャー
 (2019年の目標は)「プレミアムカーをメインターゲットに品質と性能、パフォーマンスを更に成長させていく。そのために重要なのが、良いビジネスパートナーだ。販売代理店が持つチャネルを活用してエンドユーザーに届けていきたい。また、OE装着率が非常に高いので、これがリプレイスメントタイヤにもインパクトを与えるキーになる」


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