タイヤメーカーのトップに聞く今年の展望

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 JATMA(日本自動車タイヤ協会)の賀詞交換会が1月15日、都内のホテルで開かれた。野地彦旬会長は「昨年のタイヤ生産量は対前年比95%の107万トン、タイヤ販売量は96%の7070万本だった。国内新車販売のうち約42%が軽自動車で、徐々にタイヤが小さくなっているという印象だ。デフレ脱却のために、お金に余裕のある方には高付加価値の商品を買っていただきたい。物価上昇に貢献し、結果として実質金利より高くなれば人々はお金を使い出す。そのサイクルを回さなければならない」と挨拶を行った。賀詞交換会に出席したタイヤメーカー各社のトップに、最近のトピックや今年の展望をきいた。

 ブリヂストン 津谷正明CEO
 (米国大手小売りチェーンであるペップボーイズ社の買収に関し、米国子会社が追加提案を行わない旨を明らかにした)
 「ペップ社買収に代わる次の施策を打っていく。経営の最終目標に向け継続して努力していくことが基本であって、その方法はいろいろとある。中期経営計画に沿って事業運営に取り組んでいくので、サプライズや奇策というのはない。技術陣が大いに頑張ってくれており、今年は新商品を多く発売していく。また小平のR&D拠点を再構築することで技術のさらなる底上げを図る」

 住友ゴム工業 池田育嗣社長
 (海外ではテロ事件が起き、日本経済も株価の急落、円高進行と波乱含みで始まった2016年だが)
 「1年の間には必ずいろいろな波がある。良いこともあれば、悪いこともある。しかしそういう中で、われわれがきちんと道を決めて作って、その信じた道を真っ直ぐに進んで行くことに尽きる。昨年と変わった点と言えば欧米市場でのビジネス。ビジネスチャンスが増えたので、今年はかなり力を入れていく。それにともない組織も大きく変えており、現地現物で取り組んでいく」

 横浜ゴム 野地彦旬社長
 (東京オートサロンでブースに出展した全日本スーパーフォーミュラ選手権のマシンに多くの来場者が見入っていた)
 「それは非常に嬉しい。今年からスーパーフォーミュラにADVANレーシングタイヤをワンメイク供給するというチャンスをいただいたので、エンジニアとしてこれはしっかりとやっていきたい。ほかにもジムカーナなど草の根のモータースポーツ活動にずっと取り組んできた。お客様には『ヨコハマってこんなことをやってるんだね』と、当社のことをもっと知ってもらいたい。そういう意味でも、今年は楽しみな年になる」

 東洋ゴム工業 清水隆史社長
 (2015年は免震ゴム、防振ゴム問題の対応に追われたが)
 「今年もまずはその対処に注力していかなければならない。免震ゴムの交換工事のメドは今年中につける。タイヤ事業では今年、北米・ジョージア工場で増産を考えている。国内市場ではマーケットシェアは落ちていないので、ミニバンや軽自動車など車種ごとの専用タイヤの販売にも注力していく」

 日本ミシュランタイヤ ポール・ペリニオ社長
 (昨年の社長就任時には顧客満足度の向上を掲げていた)
 「満足度を上げていくことが一番だと考えている。それによってシェアも上がっていく。今年はPC、TB、ORなどいろいろなプロダクトラインで新商品を出す予定で、2月に乗用車用タイヤの発表会を予定している。また販売店との関係強化は非常に重要だ。タイヤの市場は以前より複雑になっている。我々の営業部門をトレーニングして、ディーラーの方々に上手くお伝えできるような仕組みを作っていく」

 ピレリジャパン ジョバンニ・アンジェロ・ポンツォーニ社長
 (昨年、中国企業が本社の筆頭株主となった)
 「資本力が強化され、本社はより戦略的な投資が可能となった。ピレリジャパンとしては社員の士気が上がっている。欧州車をはじめ、OEビジネスの優位性を国内市販市場で活かしていきたい」


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