東洋ゴムの清水社長が会見 2019年は成長に向けた「第2の創業」

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 東洋ゴム工業は11月30日に兵庫県伊丹市の本社で会見を行い、清水隆史社長は「北米以外の市場で販路開拓に乗り出す」と今後の展望を語った。資本業務提携を行うと発表した三菱商事のネットワークを活用する。2019年以降、欧州や中近東、アジアなどグローバルで販売力を強化して、激変する市場環境の中で独自のポジションを築き上げる。

 東洋ゴム工業は11月1日に三菱商事と資本業務提携を行い、海外での販路拡大につなげていくことなどを発表していた。

東洋ゴムの清水社長

 清水社長は30日の会見で、「自動車産業界は100年に一度の転換期を迎え、これまで想像もされなかったような構造改革が始まっている。タイヤ産業では新興勢力の台頭によって収益性が低下しており、卸売事業の再編や中国企業による同業企業の買収などが起きている」と、昨今の市場環境を説明した。

 こうした環境変化の中、同社は三菱商事と連携することで今後の成長戦略を推し進める。特に来年以降はこれまでの北米市場への依存から脱却するべく、欧州や中近東、アジア、中国などで三菱商事の海外ネットワークを活用して販売拡大に取り組む考えだ。

 販売強化に伴い、供給体制の拡充も積極化する。現在、米国やマレーシアのタイヤ工場で能力増強を進めており、来年4月に米国で120万本、9月までにマレーシアで240万本が上積みされる見通し。また、欧州で新工場の立ち上げを検討していくほか、需要に応じて中国・張家港市の乗用車用タイヤ工場も拡張する余地がある。

 さらに、技術開発においても三菱商事グループのネットワークにより外部との連携を強化していく。同社では「原材料の調達を含めて、将来の企業成長を担保する新たな技術リソースの確立にもチャレンジする」としている。

 また、同社は来年1月から社名を「TOYO TIRE」に変更することを決めており、タイヤや自動車用部品といったモビリティビジネスを経営の中核に据えていく姿勢を打ち出す。

 清水社長は、「『TOYO TIRES』をグローバルで本物のブランドにしていく。名実ともにこの事業に携わる覚悟を社内外に宣言するもので、社名変更はゴールではなく、スタートラインとなる」と改めて決意を表明した。

 2015年に発覚した免震ゴム問題で辞任した前経営陣に代わり、同年11月にトップに就任した清水社長。2016年は信頼を取り戻すべく奔走し、2017年には機能別の組織体制をスタートするなど、これまでの3年間で従来にはなかった様々な改革に取り組んできた。「不祥事で失ったものは少なくないが、得られたものも大きかった。自分たちには何が欠けているのか真摯に見つめ直し、一つのチームとなって変革していくチャンスを得た」と振り返る。

 その一方で「色々な所に力を入れていかなければ自動車産業の変革の中で2年後、3年後に淘汰されるという危機感がある」とも話す。

 2019年は同社にとって“第2の創業”とも言える重要な1年となる。企業価値の向上、そして将来の飛躍へ向けてその真価が問われることになりそうだ。


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