高付加価値タイヤの需要増に対応 海外生産比率拡大へ

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カテゴリー: ニュース

 SUV用タイヤや高性能タイヤの需要増を背景に、国内各社が海外市場で供給能力を拡大している。ブリヂストンは欧米やインドなどで生産増強を図り、住友ゴム工業も既存工場へ生産ラインの新設を急ピッチで進める。また横浜ゴムは生産財タイヤの事業拡大にも取り組む。為替変動の影響を受けにくい体制を築き、価格競争力や採算性を高めていく傾向は一層強まっていく。

海外生産比率の推移(ゴム量ベース)※2018年は見通し。横浜ゴムの2014年は本数ベース

 ブリヂストンのタイヤ海外生産比率は2018年通期で73%を予想している。近年は2016年にカナダのジョリエット工場へ約288億円、米国のウィルソン工場には2016年から現時点までに総計約413億円の設備投資を計画した。さらに北米での高インチタイヤの需要増に対応するため、「能力増強は着実に進めており、2020年以降も継続する予定」(江藤彰洋副社長CFO)という。

 生産拡張は北米以外でも実施している。昨年8月にインドのプネ工場とインドール工場に合計約335億円、10月にはポーランドのポズナン工場とスタルガルト工場、スペインのブルゴス工場に合計で約324億円の投資計画を明らかにした。これにより、2018年通期の海外生産は15年比で6.1%(8万トン)増の140万トンを見込んでいる。

 中期経営計画で欧米事業の拡大を掲げている住友ゴム工業の海外生産比率は、今年末時点で5年前と比べて10ポイント増の59%に達する見込み。

 米国工場のほか、グローバル輸出拠点であるタイ工場に増産投資を行った。さらに欧州向けタイヤを生産するトルコ工場では、高性能車両向けに大口径タイヤの生産比率を高めている。

 同社はトラック・バス用タイヤでも生産ラインの新設を加速させている。今年7月から南アフリカ工場で生産を開始し、生産本数を2020年に日産750本まで引き上げるほか、ブラジル工場で日産500本の生産能力を有する設備を来年3月から稼働する。

 横浜ゴムは海外を中心にタイヤの生産能力を2017年から2020年にかけて25%増強する。海外生産比率は今年末が2017年比2.8ポイント増の62.7%、2020年には6.6ポイント増の66.5%に拡大する見込み。

 消費財タイヤでは2020年までに中国の蘇州工場やフィリピン工場で供給を増やす。これにより、消費財タイヤの生産能力は全体で17年比21%増を見込む。

 生産財タイヤでは建機用などオフハイウェイタイヤ(OHT)を軸に3割増を計画する。2016年に買収したアライアンスタイヤグループ(ATG)のインド・ダヘジ工場の生産能力を2019年末までに従来比1.6倍の年産9万1700トンまで引き上げる計画だ。

 さらに北米市場でトラック・バス用タイヤの拡販を積極化している。新車納入では大手トラクターメーカーのダイムラー・トラック・ノース・アメリカやボルボ、パッカーから承認を獲得しており、現在はミシシッピ工場で監査などの準備を進めているという。

 東洋ゴム工業は、昨年9月に乗用車・ライトトラック用タイヤを生産する米国工場とマレーシア工場にそれぞれ約140億円、約210億円の投資を発表しており、来年に稼働を開始する予定だ。

 同社では、強みのSUV用タイヤの販売構成比率を2020年までに40%へ高める目標を掲げていたが、北米での市販用や国内外の新車向けで販売が拡大したことで、2018年上期に目標を上回る40.9%を達成した。

 清水隆史社長は「北米セグメントで収益性の高いピックアップトラック向けの大口径タイヤの販売が堅調に推移し、米国タイヤ工場の稼働率も高い」と話している。

海外市場の拡充も進む ブリヂストンや住友ゴムが事業強化

 国内4社とも海外を中心に設備投資を継続する一方で、海外市場での販売網の拡充も進んでいる。

 ブリヂストンは、7月から米国で米グッドイヤーとの合弁会社であるタイヤハブの営業を開始した。8月9日に開いた決算会見で、江藤副社長は「両社のリテールネットワークを補完することで、米国全地域の販売店に当日配送することが可能となる」と語り、来年以降の商品ミックスの良化に期待を示した。なお、同社の2018年上半期の海外売上高比率は83%だった。

 また、住友ゴム工業は昨年2月に英国の大手販売会社であるミッチェルディーバー社を買収しており、同社の小売チェーンの店舗数を現在の約140店舗から2020年までに約200店舗へと拡大させる計画だ。

 中期経営計画では、海外の売上比率および利益比率を2022年にそれぞれ7割以上に高める方針で、「海外で利益を上げる体質に変えていきたい」(池田育嗣社長)としている。2018年上半期には海外売上収益比率64%を達成した。

 なお、横浜ゴムの海外売上高比率は60%、東洋ゴム工業は71%だった。


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