持続可能な社会に向けて タイヤ原材料の多様化が加速

 環境への取り組みがこれまで以上に求められる中、将来のタイヤがどのような姿になっているのか――。自然環境保護の観点から、大手メーカー各社が技術力を駆使して石油への依存から脱却する動きを加速させている。仏ミシュランは30年後に全てのタイヤをリサイクルする計画を公表。その目標達成のために、原材料の8割をサステナブルマテリアルに置き換えていく。

ミシュラン、全てをリサイクル可能に

 一般的なタイヤでは原材料のうち半分以上が石油をはじめとする化石資源となっている。また、原材料の約3割を占める天然ゴムは生産地域が集中していることから供給不安のリスクもある。

ミシュランが昨年発表したコンセプトタイヤ「ビジョン」

 一方、供給源の多様化や持続可能な資源(サステナブルマテリアル)への転換といった研究が進めば、環境負荷低減や安定的な原料調達に繋がることが期待される。

 仏ミシュランは昨年、リサイクル素材を材料としたコンセプトタイヤ「ビジョン」を発表。また5月30日から6月1日までカナダのモントリオールで開かれたグローバル会議「ムービング・オン2018」では、2048年までに原材料の8割にサステナブルマテリアルを使用し、全てのタイヤをリサイクルする目標を発表した。これにより、毎年約3300万バレル(約52億4600万リットル)の石油使用量を削減できるという。現在、製造するタイヤの中でサステナブルマテリアルは約28%となっているが、その割合を20年後に40%まで引き上げる。

 同社は2012年にバイオマスを原料とした合成ゴムの研究プログラムを始めた。また昨年10月には廃タイヤの加工業者、米リーハイテクノロジーズ社を買収。高いマイクロゴムパウダー技術を生かし、再生原料の利用促進を図っている。

 原材料のサステナブル化は複数のメーカーが研究を加速させている。ブリヂストンは2050年をめどに100%サステナブルマテリアル化を目指し、「使用資源の削減」「資源の循環利用」「再生可能資源の拡充・多様化」の3つを重点テーマに研究活動を進めている。既にパラゴムノキに代わるグアユール由来の天然ゴムを使ったタイヤを2015年に完成させた。また、今年5月には天然ゴム以上の強度と耐摩耗性を持つポリマーを開発。実用化すれば、少ないゴム量でタイヤを製造することが可能になる。

 住友ゴムも持続可能な天然資源の活用を推進している。2013年に100%石油外天然資源タイヤを商品化したのに加え、2015年からパラゴムノキの代替材料としてロシアタンポポの研究を行っている。さらに2016年には天然ゴムを試験管内で人工的に生合成することに成功した。

 また独コンチネンタルはタンポポから抽出した天然ゴムを採用したタイヤを数年以内に生産する計画を掲げ、伊ピレリもグアユールの天然ゴムを用いたタイヤのテスト走行に着手した。

 各社が進める様々な研究開発が実を結び、従来にない新たな技術革新が誕生する日は近いかもしれない。


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