注目度増すオールシーズンタイヤ 認知度向上が今後の課題

 夏タイヤと冬タイヤの性能を兼ね備える乗用車用オールシーズンタイヤ。欧米では普及が進んでいる一方で、国内ではさほど定着していないのが現状だ。だが、近年はオールシーズンタイヤに関心を示すユーザーが徐々に見られ、さらに海外メーカーを中心に新商品の投入も相次いでいる。オールシーズンタイヤの特性が広く認知されれば、将来的に国内でもひとつのカテゴリーとして浸透していくかもしれない。

国内でもラインアップが増えつつあるオールシーズンタイヤ

 オールシーズンタイヤの普及率が約8割とされる北米では、長距離で移動するユーザーが多く、移動地域によって気候が変わりやすいため、天候を問わずに走れるツールとして定着している。また、欧州では一部の地域で冬タイヤの装着が義務化されたこともあり、冬タイヤと認められる「スノーフレークマーク」の表示が付いたオールシーズンタイヤのニーズも高まっている。一方、国内では都市部の非降雪地域で潜在的なニーズがあるようだが、市販の乗用車用タイヤでのシェアは1%程度と見られる。

 普及が進まない理由のひとつに認知度が挙げられる。乗用車用カテゴリーではオールシーズンタイヤのラインアップが限られており、また店頭で実物の展示販売を行う販売店も多いとはいえない。その結果、タイヤ選びの際にオールシーズンタイヤを選択肢として意識していないユーザーが大勢を占めているようだ。さらに、国内では「性能が中途半端ではないか」と認識される傾向がまだ強いことも課題になっている。

 もちろん、オールシーズンタイヤは万能なタイヤではないが、近年は「スノーフレークマーク」や国内で冬タイヤであることを示す「スノーマーク」が併記される商品が増えている。従来主流だった「M+S」(マッド&スノー)タイヤに比べて雪上性能などが向上し、高速道路の冬タイヤ規制に対応するようにもなった。また、最近はインターネットの通販サイトなどで訴求が増えていることもあり、「店舗での問い合わせが増加した」(オートバックスセブン)と状況が変わりつつあることも事実だ。

 ユーザー視点から考えると、年間を通して使えるオールシーズンタイヤは履き替えの手間や保管スペースが不要で、急な降雪にも対応できるため、利便性や経済性に優れる商品かもしれない。だが、凍結路面での性能はスタッドレスタイヤより劣ることがネックになる。それも含めてオールシーズンタイヤの特性をユーザーに十分に理解してもらうことが必要だ。

 なお、セダンやミニバンなどの乗用車に装着されるオールシーズンタイヤに関して、国内メーカーで展開しているのは現在、住友ゴム工業のみ。ブリヂストンでは「安心安全の面から考慮すると現状、夏は夏タイヤ、冬は冬タイヤを装着して頂くのがベスト」という姿勢だ。横浜ゴムは「ニーズや市場動向を分析しながら検討を進めていきたい」としている。

 その一方で、国内でいち早く市場開拓を行っている日本グッドイヤーに加えて、今年からこのカテゴリーに新商品を投入した日本ミシュランタイヤなど海外メーカーは販売展開を積極化している。これにより、オールシーズンタイヤというカテゴリーそのものの認知拡大に繋がることも期待される。

 将来的に夏タイヤ、冬タイヤと並ぶ“3つ目の選択肢”となり得るのか、市場の動きに注目したい。

関連:オールシーズンタイヤ 国内市場の新たな選択肢へ


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