【住友ゴム】将来に向けた次世代タイヤの開発加速

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カテゴリー: ニュース

 住友ゴム工業が従来とは次元が異なる次世代タイヤの開発を加速させている。自動運転やカーシェアリングサービスなど、自動車産業を取り巻く環境が大きく変化する中、2020年代にはライフ性能を大幅に引き上げた技術や、路面の状態によってゴム特性を最適化できる商品を市場に投入する。タイヤ産業の将来をも見据えて新たな技術の確立、価値創造へと取り組みを強化していく。

「SMART TYRE CONCEPT」の核となる5つの方向性
「SMART TYRE CONCEPT」の核となる5つの方向性

 住友ゴムは今年の秋に開かれた「東京モーターショー2017」で、「SMART TYRE CONCEPT」(スマートタイヤコンセプト)を発表した。この技術コンセプトは、タイヤをセンサーとして機能させる「センシングコア」、空気充てんが不要となる「エアレスタイヤ」、摩耗と劣化による性能低下を抑制する「性能持続技術」、路面によってゴムの機能を最適化する「アクティブトレッド」、原材料からタイヤの廃棄段階まで環境負荷を算定する「LCA(ライフサイクルアセスメント)」の5つの技術が中核となる。

 同社では「これまでとは別次元の高い安全性能と環境性能を持った新しいタイヤを開発するためのコンセプト」と位置づけて各分野で研究開発を進めており、2020年代後半にはその全てを搭載したタイヤを完成させる計画だ。

摩耗を自己修復する機能の開発も

 12月7日に都内で開いた技術説明会でこのコンセプトのうち、性能持続技術とアクティブトレッドについて、開発の進捗状況や今後の方向性を示した。

上坂部長(左)と村岡執行役員(右)

 性能持続技術は摩耗やゴムの劣化による性能低下を抑制し、新品タイヤと同等レベルの性能を持続させるもの。2020年に新技術を採用したタイヤを量産化する。

 同社は既にタイヤの摩耗に影響するゴムの破壊を抑える技術や、ゴムの柔らかさを維持する技術を実用化しているが、今回はゴムの経年劣化を抑える技術に着目。軟X線による解析を用いて化学変化に強い材料の開発に成功した。この結果、従来より2倍以上、ゴムのしなやかさを維持できるようになるという。

 同時にすり減ったゴムを自己修復する機能や性能低下を自動で補う技術開発も進める。材料開発本部材料企画部の上坂憲市部長は、「ゴム内部に組み込んだ性能調整剤が適切なタイミングで自動的に溶解して性能を向上させることができる」とその特性を説明しており、今後、商品への採用を順次検討していく。

 また、2023年までにコンセプトモデルを発表する予定のアクティブトレッドは、自動運転時代を見据えて、これまでドライバーが行っていた操作を車両側が担うことを想定した技術。

 この技術はウェットやアイスといった、一般的なゴムではグリップ力が低下するシーンでもその変化に反応してゴムの機能を最適化することが可能となる。将来的にはセンサーシステムと連携させることで、例えば前を走行する車両から「何km先の路面が凍結している」といった情報をリアルタイムに取得して、自動で性能バランスを変化させることも視野に入れる。

 同社の村岡清繁執行役員は、「自動車産業が大きく変わろうとしている中、タイヤメーカーとは全く違う会社がタイヤを作ろうとするかもしれない。タイヤ業界が現状のままでいいのか、お客様に使って頂けるタイヤは何か、早く取り組まなければならない」と危機感を示す。

 将来、タイヤそのものが大きく変革すれば、工場の生産ラインや販売の現場などを含めてビジネス全体に影響が広がる可能性もある。同社では今後も様々なコンセプトを提案し、最適解を導き出すことで、業界をリードしていく構えだ。


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