値上げ、事業拡大、法令遵守の取り組み――2017年を振り返る

■問われる法令遵守への意識

 2017年は製造業で不祥事が相次いだ1年だったと記憶されることになりそうだ。日産自動車とSUBARU(スバル)は国土交通省に届け出た作業規定を遵守せず、また神戸製鋼グループや三菱マテリアルと東レの子会社は、企業間での製品仕様の取り決めに逸脱した数値を改ざんしていたことが明らかになった。

 不正発覚後、自動車メーカー2社は車両登録が停止となり、日産は10月の国内新車販売台数が前年同月比43.0%減、11月は27.4%減となるなど打撃を受けた。

 素材メーカーのデータの改ざんも影響は大きく、三菱電線工業と東レハイブリッドコードは社長が辞任に追い込まれた。神戸製鋼は12月15日現在、直ちに使用を停止または回収が必要な事案は確認されていないとしているが、同社製品を使用していた原子力発電所では使用前検査の延長を原子力規制委員会に報告しており、今後も余波が広がる可能性がある。

 ルールの逸脱行為に対する社会からの目が一層厳しくなる中、タイヤメーカーはどのような方針のもと、事業運営を行っていくのか――。

 ブリヂストンの木水秀和CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)は、「これまで性善説に立っていたが、間違った知識を持ったまま働いていることもあり得るだろう。教育もただ行うのではなく、手探りではあるが、その効果を確認しながら実施している」と語った。また住友ゴム工業の池田育嗣社長は、「不正はやってはいけないということを言い続けることに尽きる。それはルールを確実に守るという会社の姿勢だ」とコメントした。横浜ゴムの山石昌孝社長は「今まできちんとやってきたことを、今後も粛々と行っていく」と述べた。

 次々に発覚した問題を他人事で終わらせず、エンドユーザーまで安心して生活できる社会に向けて、法令遵守への意識が更に高まっていくことが期待される。(自動車タイヤ新聞2017年12月20日付け)


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