新ISOホイール特集2015 確実で適切な整備作業を

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カテゴリー: 新ISOホイール

 タイヤ交換の作業を行う皆様にはまず、その車両に装着されているホイールがどういう方式なのかをきちんと確認していただくことが重要です。新・ISO方式とJIS方式との誤装着ではなく、スチールホイールとアルミホイールとでホイールボルトを交換しなかったという事例が報告されています」

 「先ほど車輪脱落事故防止のポイントとして4つを挙げましたが、その第4番目ですね。スチールホイールからアルミホイールに履き替えるときには、JIS方式フロントではアルミ用のナットに交換しなければなりませんし、リア(ダブルタイヤ)の場合ホイールボルトとインナーナットをアルミ用に交換しなければなりません。従来・ISOと新・ISO方式の場合、ホイールナットは共用品ですが、ホイールボルトをアルミ用に交換しなければなりません。逆にアルミからスチールに履き替える場合も同様です。

 たとえばスチールホイールボルトのままアルミホイールを装着すると、ネジの長さが不足しますから、締め付け力を充分に得ることをできず、車輪脱落事故の原因となります。スチールとアルミとではそれぞれ適合するホイールボルトを使うこと。また、スチールとアルミの混用も避けること。整備の作業を行う皆様にはこれらの点を徹底していただきたい」

タイヤ組合との連携も

 ――ホイールボルト折損による大型車脱輪事故の事故防止対策の一環として、タイヤ専業店の団体である全国タイヤ商工協同組合連合会を協力窓口とし、組合の会員事業者に対し適正作業の徹底と大型車ユーザーに対する呼び掛けを行いました。その主旨はどこにあるのでしょうか。

年度別車輪脱落事故件数の推移
年度別車輪脱落事故件数の推移

 「当省では9月と10月の2カ月間を『自動車点検整備推進運動』の強化月間としています。その中で、大型車ユーザーに対しホイールの取り付け状態等の重点点検を実施するとともに、大型車のホイールボルト折損による大型車脱輪事故の事故防止についての周知・啓発を行っています。

 2014年度において、大型車のホイールボルト折損による車輪脱落事故は45件発生しました。うち人身事故は4件です。2013年が事故件数19件、人身事故件数2件、2012年は事故件数15件、人身事故件数1件で、2014年度は前年度比2.4倍と大きく増加してしまいました。この点について、非常に強い危機感を持っています。

 また、車輪脱落事故の発生件数を月別に見ますと、12月7件、1月9件、2月6件という具合に、冬期に30件と多発しています。とくにタイヤ交換後の1カ月の間に事故が多く起きています。ですから、冬タイヤへの交換時期であるまさに今、この10月から11月にかけて大型車ユーザーに事故防止の注意喚起を図る機会だと考えます。

タイヤ脱着作業実施者
タイヤ脱着作業実施者

 一方、タイヤ脱着作業を誰が行っているのかを調べたところ、大型車ユーザーが44%、整備工場が29%、そしてタイヤ事業者が20%で、残り7%が不明という状況でした。これまでも整備管理者向けの研修会などを通じて大型車ユーザーや整備事業者に注意喚起を呼び掛けてきていますが、全体の2割を占めるタイヤ事業者の皆様にも呼び掛けを強めたいと考え、今回新たにタイヤ専業店の団体である全国タイヤ商工協同組合連合会のご協力を得ました」

 「事故の未然防止に特効薬はありません。基本となることを常に意識し、作業に際しては徹底していただくほかありません。日頃から確実で適切な点検・整備を行うこと。車輪脱落事故がなぜ起きたのかをご理解いただき、そうならないようにするにはどうすべきなのか、意識をしていただきたい。

 整備事業場においては人手不足の問題をはじめ、作業者の高齢化、あるいは女性スタッフの参入と、大きな環境変化を迎えています。新・ISO方式ホイールをはじめ、タイヤ脱着作業の現場でより使いやすい機械器具・工具の開発が進むことで、正しい点検・整備がより促進されるのではないでしょうか。

 点検・整備の手間を惜しむことで、大惨事を引き起こしかねません。繰り返しになりますが、冒頭に申し上げた事故防止のための4つのポイントを意識し、日頃から正しい点検・整備の実施をお願いします」


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