新ISOホイール特集2010 装着車への適切な対応を啓発

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カテゴリー: 新ISOホイール

識別と現場の備え、確認が必要

 「2010年から発売される12トン以上の大型車ホイールがJIS方式から新・ISO方式に全面的に切り替わる!」――このことはタイヤ業界でも昨年秋頃から広く周知され、年末頃からはJATMAをはじめ全国タイヤ商工協同組合連合会などにより、会員向けに情報が提供されつつ対応の準備が進められてきた。

新ISOホイール
新ISOホイール

 こうした中で日本自動車工業会では、新・ISOホイール装着の新車発売を前にした今年2月、「新・ISO方式ホイール取扱いガイド」を作成し、大型車ユーザーや整備事業者、関連業界に向け適切な対応を促す啓発活動を開始した。これを受け、JATMAでもタイヤ整備に携わる各事業者への注意喚起を促すため、「大型車ホイールの新・ISOホイール方式について」と題したパンフレット4万4500部と「大型車ホイールが新・ISO方式に変わります」と謳ったポスター2万2550部を作成・配布して、啓発活動に本格的に乗り出した。

 12トン以上の大型トラックおよび大型バスの標準装着タイヤサイズは、大半が22.5インチか19.5インチと大口径。従来からタイヤの履き替え作業においては、ホイールとの確実な嵌合はもとよりホイール・ナットの規定トルクでの締め付け、一定走行後の増し締め、安全な空気充てん作業ほか、様々な専門知識と技能が求められており、タイヤ業界では適正作業の徹底を図ってきている。そこに今年から、新・ISOホイール装着車両が市場に出回り始めたことで、タイヤ整備の現場に新たな注意事項が加わったものである。

青色シール
青色シール

 大型車ホイールのJIS方式と新・ISO方式では、ボルト穴数、PCD、ねじの方向、ホイール・ナットの座面が球面座(JIS方式)と平面座(新・ISO方式)の違い、エンジンオイルなど潤滑剤の塗布部位の違い、あるいはホイール形状(リム形状)のハンプの有(新・ISO方式)無(JIS方式)、後輪ダブルタイヤのインナーナット使用(JIS方式)とシングルナットで共締め(新・ISO方式)といった具合に相違点が多い。さらにスチールホイールとアルミホイールでの違いもある。

 したがってホイールの方式をよく識別してから組み替え作業にあたる必要がある。誤組によりホイール・ボルトを折損してしまうようなことにならないよう、念には念を入れたチェックが必要だろう。場合によってはバランサーに取り付ける際にアダプターを要するケース、あるいはリム外し作業の際に新たな冶具(ビードブレーカー等)が必要となることもあるとされている。後輪ダブルタイヤの内側タイヤの空気圧点検・調整作業では、専用の冶具が必要になる場合もあるという。やはりタイヤ整備の現場に十分備えができているかどうか、この機会に是非確認をしておきたい。

 注意点はいくつもあるが、まずもって単純なヒューマンエラーを防がなければならない。例えば19.5インチのホイールではJIS方式も新・ISO方式も穴数が8穴と変わらず、またPCDの差が10mmと小さいため、誤って新・ISO方式ホイール車両にJIS方式ホイールを装着してしまう可能性がある。この場合、十分な締め付け力が得られず、ホイールの亀裂、ひいては車輪脱落事故の原因になりかねない。

 このほか想定される単純ミスとしては、左輪のホイール・ナットのねじ方向を誤ってインパクトレンチを作動してしまい、ホイール・ボルトを折損してしまうケース。これなども平易なチェック作業により十分防げること。

 ヒューマンエラーは単純ミスから起こるのが常。それが重なると、重大なミスにつながることが多い。それだけに、当然ことではあるが、タイヤ整備作業においても初動が重視されるべきだろう。やはりチェック作業をしっかり行った上で、タイヤの組み替え等の作業にあたる必要がある。


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