「宮城県組合は存続の瀬戸際」――マイナスから再出発の組合員も

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 「宮城県組合は存続の瀬戸際」マイナスから再出発の組合員も

 震災から2カ月が経った。「宮城県のタイヤ組合は組合自体が存続できるかの瀬戸際」――同組合の三川浩理事長は語る。震災で組合員43社のほとんどが被災し甚大な被害を受けたことが、次々にわかった。とくに石巻、気仙沼、多賀城などでは津波被害に遭い、店や自宅が流された人が大勢いる。何人か死亡者、行方不明者も出ている。「こんな時に理事長を務めているのも運命だと思う。私のできる最低限のことはやれたのかどうか」と話す。

 三川氏自身、仙台市宮城野区の産業道路沿いにある店舗が津波こそ免れたもののキャノピー支柱が損傷し、また預かりタイヤと中古タイヤが津波で流出するなどの被害を受けた。それでも震災直後から組合員との連絡や支援活動に必死に取り組んできた。「最初は津波被害を受けたところが大変なことになっていると思っていたが、調べていくうちに内陸部でも相当な被害があったことがわかってきた」という。

 石巻には副理事長の遠藤学氏をはじめ10社ほど組合員がいて、三川氏は何度も現地に足を運び被害状況を調べた。震災直後に及川克則副理事長が調達した軽油と救援品を石巻に届けに行ったことも。その一方で、全国タイヤ商工協同組合連合会事務局(東京)との連絡窓口となり、支援物資の送付依頼を行った。

 今年の組合費は、震災により甚大な被害(津波被害)に遭った組合員については賦課金を1年間免除とした。また仙台市内に借りていた事務局も閉鎖して、うるし山タイヤが無償で事務代行をすることにした。「大変厳しい状況ではあるが、何とか組合を存続したい」と話す。一番の心配は、「組合員の中には震災から復興する意欲を無くしている人もいるのでは」ということ。

 復興するにしても、現実には整備機器のリース支払いやタイヤ仕入れ費用の支払いなどが残り、ゼロではなく、マイナスからのスタートになる人も多いとみられる。「こうした問題は個々で対応していくことになるが、支払いや契約の問題は法的な部分もあり、やはり大企業であるメーカーさんからアドバイスを受けるのが一番いいと思う」と語る。

 支援の輪は、確かに被災者の励みになった。「全タから送ってもらった支援物資は段ボール5箱くらいあったが、ものすごく喜んでもらった。また震災直後に大阪・堺市のオートシステムさんから連絡があり支援品を送っていただき、本当にありがたかった。それからエイワ仙台支店さんからは、浸水して売り物にならなくなったとしてインパクトなどの整備機器を無償で提供していただいた。励ましの言葉やご支援いただいた皆様には、感謝の気持ちで一杯です」と話す。

 「今後は課題を一つずつ片付けて、クリアにしていこう。被害の少なかった人が被害の大きかった人の手助けをしよう。そういう気持ちで頑張ろうと、みんなで話をしている」


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