住友ゴム工業 池田育嗣社長「住友ゴムWAYを基本に」

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カテゴリー: トップインタビュー, 特集

次世代工法への期待

 ――「4D NANO DESIGN」自体も次世代へと進化させる取り組みを進められています。

 「今、取り組んでいるのはスーパーコンピュータの京(けい)などを活用して2015年に完成させる「ADVANCED 4D NANO DESIGN」です。

 ゴムはもっとすごい性能を持っているのではないかと、そんな期待感があるのです。いろいろと調べますと、ゴムにはまだまだわかっていないことがたくさんあるのです。それを見えるようにし、素材や配合に展開したり、つくり方を変えることによって、タイヤの性能はもっと上がります。それが「ADVANCED 4D NANO DESIGN」で、2015年に完成させ、この技術を16年以降発売の商品に搭載していきたいと考えています」

 ――設計技術が進化を見せる一方で、生産技術も「太陽」に続く次世代工法として「NEO-T01」を開発し、一部のタイヤでそれを使い生産し始めていますが。

 「「太陽」工法は1996年から開発に取り組み、02年に完成しました。その「太陽」が完成した直後に、次のことを考えなければならないと。

 「太陽」でやったことは真円度を高めようということでした。それを「太陽」で非常に高いレベルまで引き上げたのですが、やはりそのレベルをもっと向上させたいという考えがありました。そこで03年から次の工法の基礎技術に取り組み始めて、08年からプロジェクト化しました。そして12年に発表することができたわけです。

 今までタイヤをつくるときは、通常工法も「太陽」も材料を膨らませてつくってきたのです。しかし「NEO-T01」の場合、タイヤの設計通りの形状をした「メタルコア」にテープ状にした部材をコンピュータ制御により、100分の1ミリの精度で貼り合わせていくのです。そうすることで真円度をさらに高めることができました。

 それから今まで使うことができなかった材料を使えるようにもなりました。今までのように膨らませていたらタイヤ材料として使うことができない材料が実はたくさんあるのです。

 今回、その「NEO-T01」でつくったプレミアムランフラットタイヤとして、ファルケンの「アゼニス FK453 ランフラット」をまず欧州で、この7月から発売しました。

 高速走行しますと、遠心力でタイヤは変形するのです。ですが、「アゼニス FK453 ランフラット」は「NEO-T01」でつくったこと、材料も「NEO-T01」用の強力な補強部材を採用したことで、高速ユニフォミティが非常に向上しました。高速走行しても接地面積の変化がほとんどありません。それから乗り心地も普通のタイヤと変わらないほど良い。しかもランフラットタイヤでありながら、大幅な軽量化を実現しました。

 ランフラットタイヤにより安全性を確保し、高速安定性にもすぐれ、しかも乗り心地も良いというタイヤに「アゼニス FK453 ランフラット」を仕上げることができました。「NEO-T01」を完成させ、まずはファルケンブランドで展開しましたが、今年中にはダンロップブランドで「NEO-T01」でつくったプレミアムランフラットタイヤ「SP SPORTMAXX 050 NEO」を発売する計画です」

「信用と確実」が大事

 ――「高収益・高成長の真のグローバルプレイヤー」を標榜されていますが、グローバルな事業展開に伴いカントリーリスクが懸念されると思います。それについて、いかがお考えでしょうか。

 「カントリーリスクというのは様々に考えられると思います。景気動向があれば、政情不安や反日感情もありますし、最近では衛生管理もそうです。労働環境や文化の違いということもあります。当社にはリスク管理委員会があり、そこでは様々なリスクに対するアクションプランを定めています。

 まずは従業員の安全を守るというのが基本ですが、ビジネスとしてはお客様にご迷惑をかけるわけにはいきません。ですから、ある工場が停止した場合、どの様な体制で他工場でバックアップするか等、様々なケースを想定しています」

 ――先日、泉大津工場が操業70周年を迎えるなど、国内工場は長い歴史を積み重ねてきています。国内の生産拠点をスクラップ&ビルドするのは非常に難しい問題ですが、やはりリビルドということに目を向ける必要があるのではないでしょうか。また、海外リプレイス市場が活況を呈しているのに対し、国内市場は成熟化し、やや元気が薄れてきているのではないかと懸念されます。この辺りについて、お考えの一端をご披露ください。

 「当社の国内工場は現在、フル稼働の状況です。と言いますのも、日本でしかつくれないタイヤはまだまだあるのです。先ほどご紹介した「NEO-T01」はまさにそうです。そういう意味では、国内工場の稼働を落とすという考えはありません。国内で高付加価値のタイヤをつくり、海外へ輸出するというスタイルは今後も変わらないと思っています。

 例えば、中近東のお客様の中には「日本で生産したタイヤが欲しい」という方が大勢いらっしゃる。このように日本製に対するニーズは非常に高い。そのようなニーズにまだ対応しきれていないところがありますから、やはり国内工場で高付加価値商品をつくるということは続けていかなければなりません。

 ただ、工場における合理化は引き続き取り組んでいかなければならないテーマです。それから一つ、気にかかっていますのは、将来、日本の人口は減っていきます。そうすると、働く人の数も減ってきます。それへの対応が求められます。日本の工場は最先端ですから、自動化は進んでいますが、それをさらに合理化するというようなことは考えていかなければならないでしょうね。


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