未来を想像する――モビリティを支える“将来のタイヤ技術”

 大変革期を迎えている自動車業界。昨年10月に発表したトヨタ自動車とソフトバンクの協業も記憶に新しい。両社が設立する新会社「モネ・テクノロジーズ」では、移動や物流、物販などに利用できる次世代電気自動車を活用した新たなサービス展開が予定されている。このような新分野で活用されるのがCASE――コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化――の技術だが、例えば電気自動車(EV)は国内外を問わず開発が加速しており、今後、その競争は一層激化していくものと予測されている。

未来を想像し、新たなタイヤ技術の確立へ

(左から)ミシュランの「VISION」、コンチネンタルの「ContiSense」、グッドイヤーの「Eagle 360 Urban」

 IEA(国際エネルギー機関)のまとめによると、世界のEV総数(プラグインハイブリッドカー含む)は2017年に前年比54%増となり300万台を突破。2030年までには1億2500万台に達すると見込まれるなど市場の拡大は必至だ。

 こうした潮流は車両だけに限ったことではない。タイヤ業界でも各社の間で新技術の開発が積極的に進められている。仏ミシュランは2017年末に韓国の現代自動車とEV向けのタイヤ開発で技術提携すると明らかにしたほか、米グッドイヤーと韓国のハンコックタイヤは昨年、EV向けの製品を発表した。

 一方、車の“所有”に関しては、カーシェアリングなどのサービスが台頭し、“利用するもの”へのシフトが進むとの見方が少なくない。海外に比べて普及が遅れている日本でもカーシェアは存在感を示しつつある。業界大手、パーク24の2018年10月期の通期決算は、カーシェアリング事業の売上高が295億1900万円(前年比27.7%増)となった。また2019年10月期は5年前から3倍以上となる350億円を見込む。さらにカーディーラーなどからの新規参入も多く、今後の市場の成長は確実なものとなっていくかもしれない。

 コネクテッドや自動運転はどうか――。政府のIT総合戦略本部は、2025年を目処に高速道路での自家用車の完全自動運転(レベル4)市場化を努力目標に掲げた。この実現には通信技術が不可欠だ。総務省の「コネクテッドカー社会の実現に向けた研究会」では「自動運転技術を実現するためには、高精細な地図情報や交通規制等の環境情報をリアルタイムに取得する必要がある」とし、“つながる自動運転車”によるサービスを展望する。

 現行の車両にも情報通信技術を活用したシステムが搭載されているが、高度な自動運転機能や新たなサービスの実現に向けて、5Gやビッグデータ、AI(人工知能)の発展に伴った、より安全で快適なモビリティ社会の到来が期待されている。

 激変していく自動車産業の中で、タイヤメーカーが将来にわたり事業を継続するには、CASEへの対応はもちろんのこと、環境面への配慮もますます重要になってくるだろう。昨年はタイヤメーカーが中心となって「持続可能な天然ゴムのためのプラットフォーム」を設立。今後もタイヤのライフサイクル全体を通じて環境負荷低減を実現する事業運営が求められる。

 CASEや持続的なモビリティ社会の実現に向け、タイヤメーカーはどのように対応していくのか――大手メーカーを中心に様々な開発が進む中、ミシュランとグッドイヤー、独コンチネンタルが発表したコンセプトタイヤにフォーカスした。


[PR]

[PR]

【関連記事】