住友ゴムのフラッグシップ工場、白河工場が果たすべき役割

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カテゴリー: タイヤ事業戦略, 特集

 住友ゴム工業の国内最大級の生産規模を誇る白河工場(福島県)は、生産技術面でも最新工法を開発し、発信する重要な役割を担う。モビリティ社会の変化に伴いタイヤに求められる性能が進化し、さらに事業のグローバル化が加速する中、工場のあるべき姿はどう変わっていくのか――藤本紀文工場長(住友ゴム執行役員)に展望を聞いた。

――住友ゴムグループの中で白河工場の役割は。

 「住友ゴムグループのフラッグシップ工場として、様々な観点で先進工場となります。環境先進工場でなければなりませんし、新たな生産設備を開発してグローバルに発信する拠点でもあります。

 生産工程の全自動化と設備の小型化を実現した新工法『太陽』や、『太陽』を超える超高精度を追求した次世代新工法『NEO-T01』(ネオ・ティーゼロワン)も全て白河工場から発信しています」

――新工法はどれくらい進化していますか。

白河工場

 「『NEO-T01』ではシビアな性能が求められる高性能タイヤの生産を担っており、現時点ではランフラットタイヤを生産しています。ランフラットは欧州市場で需要が旺盛です。そのため欧州の生産拠点でも『NEO-T01』が必要になる時を見据え、生産技術の完成度を更に高めている段階です。

 機械自体は確実に精度が上がっており、数年後には海外拠点に展開できる位のスピード感をもって改良を進めています」

 「一方、『太陽』も既に完成された工法ですが、タイヤ自体が進化していますので、求められる性能を時代に先駆けて達成できるよう日々進化させています。

 例えば、転がり抵抗性能を高めるためにシリカを増やしたタイヤがあるとします。これは従来の『太陽』では工程通過性が難しくなってくるのです。こうした変化に対応するために、ゴムの加工技術も向上させていかなければなりません。日々進化していくタイヤに求められる性能に対応できるように工法も進化していますし、その要素は日本で開発しています」

――従来工法も進化の余地はありますか。

 「優れた点は多くありますし、こういった設備もきちんと改善しながら、効率良く活用していくことも製造技術の中では重要なポイントです。従来工法だからといって品質を下げるわけにはいきません。改善活動を通じて、しっかりレベルを上げて、工程の自動化や省力化にも取り組んでいますし、『太陽』に追いつけるくらいに精度を高められるよう、努力を継続しています」

――IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の活用は。

白河工場の藤本工場長

 「昨年4月に製造IoT推進室を新設し、進化させたAIの開発を進めていますし、機械の予防保全などにIoTを活用するための開発をスタートさせています。まずは予防保全が切り口となりますが、機械を常に監視させて真円度の更なる向上へ繋げるといったタイヤの品質面への活用もあると思います。

 それからオーダーシステムですね。今まで以上に効率良くリードタイムを短縮して無駄な作業をなくす生産システムにしていきたいと考えています。無駄をつまびらかにし、定義を明確にしていく。そして稼働率を高めていくことに取り組んでいます。

 ただ、今までのAIでは人間が介在する部分が結構あるのですね。人間が持つノウハウをいかに蓄積して、フィードバックできるようにしていくか――これが次のステップだと思っています」

――スマートタイヤコンセプトやエアレスタイヤの技術を発表しています。将来の生産体制は。

 「アクティブトレッドなどゴムの技術も含めて神戸のテクニカルセンターで検討している段階ですので、生産技術はその先の話です。現時点で、どの拠点で生産するのかなど具体的なプランはできておらず、今後の検討課題となります。

 将来、生産する際は通常のタイヤとは技術が大きく変わってきますし、今まで持っていないノウハウも必要になってきます。そのような中、白河工場は住友ゴムのフラッグシップ工場として、しっかりと生産技術を進化させて対応していきたいと考えています」

――白河工場の今後の目標は。

 「白河工場は労働生産性など工場の管理指標でほとんどの部分で当社工場中トップです。ただ、他の工場と比べて改善していかなければならない項目はまだあります。例えばエネルギー管理の部分などがありますが、そうした項目を一つずつクリアし、5年後には全ての項目でトップになり、他の工場がそれに追いつくためにレベルアップしていくことが理想です。

 海外工場を含めて全ての工場であらゆる指標をベンチマークして、トップに追いつくためには何をしなければならないのか、という活動を進めています。白河工場は他の工場を引っ張っていくフラッグシップ工場としての役割がより重要になってきます」

 「そして今後はEV(電気自動車)化が進んでいくと思われますが、EVでは今までのタイヤとは異なる要求があります。音、耐久性、燃費――EVではこの3つのハードルが非常に高くなり、そういったタイヤは当然ながら生産の難易度も上がります。それをフラッグシップ工場として、難なく作れる工場にしていくことが重要です」

関連:住友ゴムの白河工場 3つの工法を活用し、高品質なタイヤを供給


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